お腹、太もも、お尻、バスト、ふくらはぎなどに現れやすい肉割れ。「体重が増えてから肉割れが気になる」「太ももや二の腕の肉割れを何とかしたい」など、肉割れを気にしている方は意外と多くいます。肉割れ(ストレッチマーク)は、時間がたつと少しずつ目立たなくなっていきますが、一度できてしまうと完全に消すのは難しいと言われています。
肉割れとは
肉割れとは、皮膚の内側(主に真皮層や皮下組織)が裂けてしまうことでできる線状の痕のことです。医学的には「ストレッチマーク(Stretch Mark)」や「線状皮膚萎縮症」と呼ばれます。
「真皮」にはコラーゲンやエラスチンなどの繊維があり、肌のハリや弾力を保ってくれていますが、短期間での体重の増減や、妊娠によってお腹が大きくなったりなど、皮膚に急な伸びや縮みがあると、この繊維が伸縮に耐えきれずに裂けて肉割れ(ストレッチマーク)が生じます。
肉割れ・ストレッチマークができる原因
急激な体重の増加や減少で肉割れができる
体重が急に増えたり、ダイエットで急激に痩せたりして皮膚に伸縮があると、コラーゲン繊維が損傷し、お腹まわりやお尻、太もも、二の腕などに肉割れが現れるようになります。
成長期の急な身長や体型の変化で肉割れができる
成長期は筋肉や脂肪が増えやすい時期です。急激な身長の伸びや体型変化に皮膚の伸びが追いつかないため、太ももの付け根やふくらはぎ、背中、腰などに肉割れができることがあります。
筋トレなどで急激に筋肉がついた場合
短期間で筋肉量が急激に増えるような過度な筋力トレーニングや運動は、皮膚が引き伸ばされて肩、胸、腕、太ももなどに肉割れが生じることがあります。
加齢や乾燥やコラーゲン不足による皮膚の柔軟性の低下でできる肉割れ
真皮には肌の弾力を維持するためのコラーゲン線維が豊富にありますが、肌が乾燥していたり、加齢でコラーゲンが減少していたりすると、皮膚の弾力が失われて肉割れができやすくなります。
妊娠中のお腹や乳房などの妊娠線や肉割れ
妊娠でお腹が大きくなってくると、真皮層のコラーゲンやエラスチンが皮膚の伸びに追いつかず引き伸ばされ、妊娠線ができることがあります。妊娠線は妊娠6か月頃から下腹部、太もも、お尻、乳房などに現れやすいです。また、妊娠中はステロイドホルモンの増加により、コラーゲンの生成や真皮のターンオーバーが抑制され、皮膚の弾力が低下するため、肉割れが起こりやすくなります。
肉割れ・ストレッチマークができやすい部位
肉割れ(ストレッチマーク)は、「脂肪がつきやすく、皮膚が伸びやすい部位」にできやすい傾向があります。肉割れや妊娠線ができやすい部位は、腹部、太もも、お尻、胸部、ふくらはぎ、二の腕などが挙げられます。
お腹(下腹部)の肉割れ
お腹はもっとも出来やすい部位のひとつです。妊娠中や急激な体重増加で、皮膚が前方に大きく引き伸ばされるため、コラーゲン繊維が断裂しやすく、初期には赤紫色やピンク色の線が現れ、時間が経つと白くなって目立ってきます。
太ももの肉割れ
太ももは脂肪や筋肉がつきやすいため、ダイエットや筋トレなどで急に体型が変わると、皮膚が伸縮に耐えきれずに肉割れが生じるようになります。特に太ももの付け根や太ももの内側、後ろ側は、肉割れが出来やすい部位です。
お尻の肉割れ
お尻は筋肉や脂肪の変化だけでなく、長い時間座っている時の圧力や摩擦によって肌が乾燥しやすく、柔軟性を失いやすいため、肉割れを引き起こしやすくなっています。
胸の肉割れ
思春期や妊娠、豊胸手術によるバストの急激なサイズ変化が原因で、皮膚が伸び、肉割れができることがあります。特に胸の下側やサイドは脂肪が多いため引っ張られやすく、肉割れができやすくなります。
二の腕(上腕)の肉割れ
二の腕も筋肉や脂肪がつきやすいため、ホルモンバランスの変化や成長や体重の増減や、加齢や乾燥で肌のハリが失われると、肉割れができることがあります。
背中・腰の肉割れ
背中や腰回りも見落としがちですが、成長期の急な身長の伸びや筋トレなどによって、皮膚が引っ張られて肉割れが起こることがあります。自分では気づきにくいウエストラインも肉割れができやすい部位です。
ふくらはぎ・膝の裏の肉割れ
成長期やスポーツによる筋肉の発達、体重変化や乾燥、急激な皮膚の伸びによって、ふくらはぎや膝裏にも肉割れができるようになります。
太っていないのに肉割れができる理由
太っていないのに肉割れができるのは、思春期の急な身長の伸びや、筋トレによる筋肉の急激な成長、ホルモンバランスの変化など様々な要因で「皮膚の急激な伸び」や「真皮の柔軟性の低下」が原因です。
また、加齢や肌の乾燥によるコラーゲンの減少なども原因になります。運動不足や血行不良で皮膚の新陳代謝が落ちている状態だと、より肉割れが起こりやすくなります。
肉割れ(ストレッチマーク)を放置すると、、、
肉割れを放置しても自然に消えることはありません。初めの段階はピンク、赤、紫などの細い線ですが、徐々に白っぽく変化し、表面には細かいしわが出て、触るとデコボコになってきます。痛みや健康上の大きな害はないものの、できるだけ目立たなくしたいと考えている人は、早めのケアや治療をお勧めします。
肉割れ・ストレッチマークを悪化させない予防方法
ストレッチマーク(肉割れ)を悪化させないためには、皮膚を「乾燥させない」「急な変化を与えない」ということが大切です。できてしまった肉割れは自然には消えにくいものですが、正しいケアで目立ちにくくすることが可能です。
保湿を徹底する
肌が乾燥していると柔軟性がなくなり、肉割れができやすい状態になります。コラーゲンやヒアルロン酸、セラミドなどが含まれた保湿クリームやオイルを使って、日ごろからしっかりと保湿をしましょう。
体重の変化をゆるやかにする
急激な体重の増減は、皮膚に大きな負荷を与えます。ダイエットや筋トレ、妊娠期でも体重が急に増減しないよう、バランスの良い食事と適度な運動で健康的な体型を維持することが大切です。
適度な運動と入浴で血行をよくする
血流が悪いと肌のターンオーバー(新陳代謝)が悪くなります。入浴やストレッチ、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れて、体を温めたりほぐしたりすることで、血行を良くしましょう。
栄養バランスを意識する
肉割れを防ぐためには、タンパク質やビタミンC、鉄分などの栄養素を取り入れることが大切です。これらはコラーゲンの生成を助け、肌のターンオーバーを整える働きがあり、皮膚にハリと弾力をもたらす効果が期待できます。
無理な筋トレやストレッチに注意
筋トレやストレッチで短期間に激しい負荷をかけすぎると、肉割れができる原因になるため、負荷は徐々に上げて無理なく行いましょう。
優しくマッサージを行う
マッサージを行うことで血流が良くなると、肌のターンオーバーが活発になり皮膚に柔軟性が出て、肉割れの線が目立ちにくくなる効果が期待できます。
ただし、強いマッサージや触り過ぎると、逆効果になって悪化する可能性があります。マッサージは、保湿クリームを使って優しく行いましょう。
肉割れはセルフケアでは治らない
肉割れや妊娠線は、真皮が断裂し深い部分でダメージを受けている状態のため、セルフケアだけで確実に治す効果は見込めません。既にできてしまった肉割れに美容液や保湿クリームを塗っても、塗布した成分は角層までしか浸透しないため、効果はほとんど期待できないでしょう。また、肉割れは疾患ではないため「医薬品」に該当するクリームはありません。妊娠線クリームや肉割れクリームも塗らないよりは良いという程度です。
美容医療でできる肉割れ・妊娠線の治療
一度できてしまった肉割れや妊娠線は、完全に消すことは難しいとされていますが、美容クリニックでの適切な治療で目立たなくすることは可能です。当院では、皮膚の再生を促し、コラーゲンの生成を助けるレーザー治療や高周波治療、ピーリング、ダーマペンなどを、患者さんの症状に合わせてご提案いたします。
この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
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