
「最近、髪の分け目が広がってきた気がする…」「蛍光灯の下で見ると、つむじの部分が白く光って目立つ」…ある日ふと気がつく、分け目やつむじが目立つ状態は、薄毛が進行しはじめたサインかもしれません。
髪のボリュームが減ってしまう理由は、日々の生活習慣やホルモンバランスの乱れ、年齢によるものなどさまざまな原因が関わっており、正しい対策や治療を行うことで、分け目の薄毛を改善に導くことも可能です。
このコラムでは、分け目やつむじの毛髪が薄くなる原因や対策、治療法などについて解説します。
分け目はげが目立つ状態とは?
分け目が目立つ状態とは、髪の密度が低下したり髪が細くなったりすることで、髪の分け目が以前よりも透けて見えるようになったり、分け目の幅が広く見えたりして、明らかに地肌が目立つ状態を指します。
これは「分け目はげ」や「分け目の薄毛」とも呼ばれていて、男女関係なく起こる症状です。明確な基準はありませんが、以前より分け目が目立つ・広がっていると感じる場合は、分け目はげの可能性があると考えられます。
分け目はげの主な原因は、不適切な生活習慣や、ホルモンバランスの変化、紫外線ダメージを受ける環境など多岐にわたりますが、進行すると全体的な薄毛につながる場合もあるため、早めの対策が大切です。
男性の分け目はげが目立つ・薄くなる主な原因

男性が分け目はげや薄毛になってしまうのは、以下のような原因があります。
分け目からはげるタイプのAGA(男性型脱毛症)
AGAはDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが毛根に悪影響を及ぼして抜け毛を促進する脱毛症で、男性の薄毛の原因としては最も一般的です。
「O字型」と呼ばれるアルファベットの「O」の形のように頭頂部からだんだんと薄毛が進行するタイプのAGAの場合は、ちょうどつむじや頭頂部から薄毛が進行するため、分け目はげと認識される場合があります。
分け目部分に当たる紫外線のダメージ
最近では真夏に日傘を差す男性も増えてきましたが、帽子や日傘などを使わない男性も大勢いらっしゃいます。分け目の地肌に直接紫外線が当たり続けることで、皮膚の老化が進行し、発毛や髪の成長に悪影響を与えます。
いつも分け目が同じヘアスタイル
毎日同じ位置で髪を分けていると、その部分の毛根に負担がかかり、毛髪が損傷を受けやすくなります。
また髪の毛には頭皮を保護する役割がありますが、常に同じ部位の頭皮が露出していることで、乾燥や炎症などのダメージが蓄積されて毛根が弱り、細く短い毛になる場合があります。
その他に男性の髪が薄くなる原因には、以下のようなものがあります。
生活習慣による分け目はげ
喫煙は頭皮の血行不良を招きます。特に男性にたしなむ人が多い喫煙は、タバコに含まれるニコチンが血液を収縮させて、頭皮の血流量を減らし、毛根を弱らせます。
また、男性が好む脂っこい食事は、皮脂の過剰分泌を招きます。頭皮の皮脂が毛穴を塞ぎ、炎症や毛根ダメージを引き起こす場合があります。また過度な飲酒や偏った食生活は、髪に必要な栄養の不足や、睡眠の質の低下による薄毛の原因となる可能性があります。
ストレスが原因で分け目はげになる
慢性的なストレスを感じると、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンを放出します。このコルチゾールが長期間高い状態が続くと、毛母細胞の分裂を抑制したり、ヘアサイクルを乱したりします。
またストレスで交感神経が優位になると、頭皮の毛細血管などの末梢血管が収縮して血流が低下し、毛根に栄養や酸素が届きにくくなります。毛の成長が鈍化して弱く細い毛が増え、抜けやすくなってしまいます。
女性の分け目はげが目立つ・薄くなる主な原因

一方、女性の分け目やつむじの毛髪が薄くなる原因には、男性と共通する点もありますが、女性特有の原因もあります。
びまん性脱毛、FPHL(女性型脱毛症)
閉経や加齢によってエストロゲンが減少することで、FPHLと呼ばれる女性特有の脱毛症が進行します。
FPHLは、女性の頭髪が徐々に薄くなっていく「びまん性脱毛」が特徴的な脱毛症で、ホルモンバランスの変化に加えて、家族に薄毛の人がいるなどの遺伝的要因、加齢による毛包の機能低下などが原因で髪の密度が減っていく進行性の脱毛症です。
ホルモンバランスの変化は分け目はげの原因
女性ホルモン(エストロゲン)には髪の成長を促して、健康的な太い毛を保つ作用があります。妊娠や出産、閉経などでエストロゲンの分泌量が変化すると、髪のヘアサイクルが乱れて抜け毛が増えることがあります。
特に閉経後は、卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌が急激に減少するため、つむじや分け目の髪が細くなり、髪のボリュームが減って地肌が目立ちやすくなります。
同じヘアスタイルが分け目はげになる
長年同じ髪型で分け目を続けると頭皮に負担がかかるほか、女性独特のヘアスタイルも悪影響を与える場合があります。
きつく結んだポニーテールや編み込み、ウィッグの装着などで同じ部位の髪に長期間負荷がかかると、毛根がダメージを受けて毛が抜けてしまったり、髪が生えてこなくなったりする「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」になる場合があります。
その他の女性の薄毛の原因には、以下のようなことが挙げられます。
生活習慣の乱れは薄毛の原因になる
男性と同じく偏った食事は薄毛の原因になります。髪は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。特に女性に多い無理なダイエットや小食は、このタンパク質をはじめ、鉄・ビタミン類などの髪をつくる栄養素の不足を招き、薄毛の原因となります。
また睡眠不足も成長ホルモン分泌の低下や自律神経の乱れを招き、毛母細胞の再生力を低下させます。
女性に多い運動不足や冷え性体質は血流を悪くして、頭皮への酸素・栄養供給を低下させてしまいます。
慢性的なストレスは分け目はげの原因
ストレスが多いと自律神経が乱れて毛根への血流が減り、毛の成長が止まりやすくなり、抜け毛につながります。
男性と同じく、慢性的なストレス時に、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが放出されます。このコルチゾールは毛母細胞の分裂を抑制したり、ヘアサイクルを乱したりします。
またストレスで交感神経が優位になると、頭皮の毛細血管などの末梢血管が収縮して血行不良を引き起こし、毛根に栄養や酸素が届きにくくなります。毛の成長が鈍化して弱く細い毛が増え、抜けやすくなるのです。
分け目はげ、つむじハゲを隠したい。今すぐできる分け目はげ・薄毛対策
「分け目はげを何とかしたい!」という場合には、即効性のある見た目対策と、根本的な発毛・育毛対策があります。
分け目や髪型を変えて分け目はげ・薄毛を隠す
男女ともに長期間同じ分け目を続けている場合は、逆サイドに分け目をつくるなどして、分け目の位置を変えてみましょう。また頭頂部の髪をジグザグに梳かすと、分け目が目立たなくなります。
牽引性脱毛症の場合は、髪をしばることをやめて毛根に負担がかからないヘスタイルに変えてみましょう。ボブやレイヤーでふんわりとボリューム感を出すと、分け目を目立たなくできます。
増毛パウダーなどの薄毛対策グッズを使用する
ヘアファイバーや増毛パウダーと呼ばれるヘアスタイリング剤は、頭皮にふりかけるだけで透けて見える地肌を即効的にカバーして見た目を改善します。
頭皮アートメイクで薄毛をカバーする
分け目部分にアートメイクを施すことで、薄毛をカバーできます。頭皮に細い針で色素を注入して、毛が密集しているように見せかけます。薄毛対策グッズより長期間効果が持続します。
分け目はげ、つむじハゲの根本的な発毛・育毛対策
生活習慣の見直しで根本的でに分け目はげを改善
時間はかかりますが、頭皮の紫外線対策、栄養や睡眠の改善、ストレス解消などの生活習慣の改善に取り組むと、分け目はげを改善に導くことができます。
紫外線は頭皮にダメージをあたえて、皮膚の老化を促進し、毛母細胞にもダメージを与えます。紫外線が気になる季節は日傘や帽子を活用し、頭皮を直射日光から守りましょう。
健やかな髪をつくるため、しっかり栄養を取ることも大切です。髪は「タンパク質」「亜鉛」「鉄」「ビタミンB群」「ビタミンE」などで構成されています。無理なダイエットは避け、鶏肉や卵、大豆などの良質なタンパク質や、亜鉛が多く含まれる牡蠣やチーズ、レバー、ほうれん草などの野菜などをバランス良く食べましょう。
毛髪の健康は成長ホルモンの分泌量と比例します。成長ホルモンの多くは睡眠中に分泌され、特に午後10時~午前2時ごろに分泌量が上昇するため、この時間帯に睡眠をとるように心がけてみましょう。
また過度なストレスは血流を悪化させて薄毛の原因となるため、軽い運動やリラックスできる入浴など、自分なりのストレス解消法を見つけて実行するようにしてみてください。ストレッチや軽い有酸素運動などは、運動不足対策にも有効です。
適切なケアを行っているにもかかわらず薄毛の進行が止まらない場合は、自力で毛根が回復できない状態であることが考えられます。AGAやFPHLによる薄毛は進行性の症状で自然に治ることはないため、気になる方は専門医の診断を受けて早めに対処することが大切です。
根本的に分け目はげ・薄毛を治すには
根本的に分け目はげやつむじの薄毛を治すには、医療的な治療が有効です。特に薄毛が進行している方や家族に薄毛が多い方はAGAやFPHLの可能性が高いため、クリニックの受診をおすすめします。
当院では、ベーシックな内服薬の処方から毛髪再生医療まで、さまざまなアプローチの薄毛治療をご用意しています。薄毛の状態を診断して何が原因なのかを見極め、その方の薄毛の原因と進行状態に応じた治療を組み合わせる、オーダーメイド治療です。
AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑制する飲み薬を処方したり、男女ともに発毛効果が認められているミノキシジル注射などの治療を行います。
また、毛根が弱った頭皮に栄養を届けて頭皮環境の改善を目指す注入治療も行っています。患者さんの血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を栄養に加えて注入する再生医療も提供しており、根本的な解消が目指せます。
ただし薄毛治療に即効性はなく、抜け毛を抑えて発毛を促す根本治療には数ヶ月〜年単位での取り組みが必要です。だからこそ、早期対策が非常に重要です。分け目が目立ってきたな、と感じたら早めにご相談ください。







この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら