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M字はげ(おでこハゲ)は遺伝する?生え際の後退サインと対策を解説します

「鏡を見たら、生え際が後退した気がする」「そり込みをいれたような前髪になってきた」…額の両脇の生え際が後退し、前髪がアルファベットの「M」の形になったと感じる場合は、M字はげが進行中かもしれません。
M字はげの原因は遺伝やホルモンの影響であるとされていますが、生活習慣やヘアスタイルなども大きく関係しています。進行をストップさせるためには、早期に対策を取ることが重要です。
このコラムでは、生え際の後退サインと、その後退を食い止めるための方法をご紹介します。

M字はげ(おでこハゲ)とは

M字はげとは、前髪の生え際の左右の抜け毛が多くなり、髪が薄くなっていく進行性の脱毛症です。額の左右の薄毛が進行することで額の中央が下がったような「M字型」の生え際になります。進行のスピードには個人差があり、急速に進行する方もいれば、ゆっくり進行する方もいます。
M字はげの最初のサインは、髪の毛にボリュームがなくなる、シャンプー後に抜け毛が増える、細い抜け毛が多いなどという症状に加えて、生え際の髪が薄くなったと感じられます。以前より指2〜3本分の面積で両額の髪の毛が後退している場合は、M字はげが既に進行中である可能性が高いと言えるでしょう。

M字はげ(おでこハゲ)の原因は?

M字はげは、主に遺伝的要因や男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響を受けて進行するため、男性に多く見られる症状ですが、女性でも症状が現れる場合があります。

男性のM字はげの原因

M字はげは、男性型脱毛症(AGA)の一部の症状であると考えられています。

AGAとは

AGA(Androgenetic Alopecia:アンドロジェネティック・アロペシア)とは、額の生え際や頭頂部の髪の毛が徐々に薄くなっていく成人男性特有の脱毛症で「男性型脱毛症」と呼ばれています。
主に遺伝と男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響を強く受け、何も対策を取らないでいると、薄毛が進行していきます。「ハミルトン・ノーウッド分類」と称されるAGAの進行パターンでも、ほとんどの場合、髪の生え際から徐々にM字に後退します。日本人男性の約3人に1人がAGAに該当するとも言われています。

薄毛・AGAの進行パターン

遺伝的要因でM字はげになる

M字はげは、生え際の後退しやすさや、ホルモンの影響の受けやすさなどの遺伝的な要因が強く影響して起こります。家族や親族に薄毛の人がいる場合はM字はげのリスクが高く、遺伝が関係するため、10代後半からM字はげの症状が出る場合もあります。

男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)はM字はげの原因になる

AGAの主な原因であるジヒドロテストステロンは、頭髪の毛母細胞の働きを阻害し、髪の毛を細らせて脱毛を促進します。特に生え際や頭頂部はジヒドロテストステロンの影響を受けやすく、M字はげの原因となります。

生活習慣と体質でM字はげが進行する

AGAの進行を促す生活習慣には、睡眠不足、過度なストレス、高脂肪など乱れた食生活、誤ったヘアケア、過度な飲酒や喫煙などがあります。いずれも頭皮の血行不良を招き、毛根を弱らせてM字はげの進行を促進します。
さらに近年の研究では、肥満とAGAは因果関係にあることが分かっています。

女性のM字はげ(おでこハゲ)の原因

一般的に女性はM字はげになりにくいとされていますが、女性ならではの原因でM字はげになるケースがあります。

牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)が原因でM字はげになる

髪の毛を強く結んだり、頭皮の同じ部位に負荷がかかり続けたりすると、その部分の毛根がダメージを受けて髪が抜けやすくなります。これは牽引性脱毛症と呼ばれています。
ロングヘアの女性が、ポニーテールや編み込みなどで毎日髪の毛を引っ張りつづけると、額の生え際や頭頂部の髪の毛根にダメージが蓄積し、抜けやすくなります。
またその状態が長期間続くと、毛根が瘢痕(はんこん)化して髪が生えにくくなることがあります。これは瘢痕性脱毛と呼ばれており、こうなってしまうと自然には治ることはありません。
なお、女性の薄毛の主な原因である女性型脱毛症(FPHL)の症状は、M字はげとは異なり、主に広範囲に髪が薄くなるびまん性脱毛になります。

  • FAGA(女性男性型脱毛症)
    FAGA(女性男性型脱毛症)
  • 牽引性脱毛症
    牽引性脱毛症

女性も生活習慣の影響でM字はげが進行する

女性も男性と同じく、生活習慣によってM字はげが進行する場合があります。極端な食事制限や偏った食生活による頭皮の栄養不足や、過度なストレス、睡眠不足や喫煙などによる頭皮の血行不良などが、薄毛進行の原因となります。

一方で生まれつき額の生え際がM字型になっている方は、脱毛症ではないため進行することはありません。

どんな人がM字はげ(おでこハゲ)になりやすい?

現在、自分がM字はげなのか迷っている方に、セルフチェックを用意しました。

  • 家族に薄毛の男性がいる
    父親や祖父が薄毛だった場合、その遺伝子を引き継いでいる可能性が高く、M字はげのリスクが高いと言えます。
  • 男性ホルモンの分泌が多い体質だ
    男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響を受けて進行します。ジヒドロテストステロンの分泌量が多い体質の人はM字はげを発症しやすいと言えます。
    最近では、抜けた髪の毛や血液からジヒドロテストステロンの量を測定して、将来の薄毛リスクを知ることができる検査もあります。
  • 髪質が変化して、抜け毛が増えている
    男女ともに生え際の髪の毛が細く弱々しく変化したり、シャンプーやドライヤー後に髪の毛がたくさん抜けたり、まくらについた抜け毛が多い、などの実感がある方は、M字はげが進行中かもしれません。
  • 過度なヘアスタイルや髪のケアをしている
    女性のポニーテールだけでなく、男性のコーンロウ(編み込み)などの髪を強く引っ張るヘアスタイルは、M字はげの原因となる場合があります。
  • 生え際の形が変化してきた(M字が深くなってきたなど)
    生え際の抜け毛の増加(細い・短い毛が多い)、また頭頂部も薄くなってきたなどの目に見える変化は、M字はげの前兆かもしれません。
  • 髪の成長に悪影響を及ぼす生活習慣がある
    男女を問わず、喫煙や栄養に偏りがある食生活、ストレス、睡眠不足、過度な飲酒などの生活習慣は、健康な頭皮に悪影響を及ぼしM字はげの原因となる場合があります。

当てはまる項目が多く、M字はげを何とかしたいとお考えの方は、薄毛対策を行ったり、早めに医師に相談することをおすすめします。

M字はげ(おでこハゲ)の進行は止められない?

男性のM字はげの主な原因はAGAのため、AGA治療が進行のストップに最も有効と考えられます。
その他に男女ともにM字はげの進行を遅らせる方法として、いくつかのアプローチがあります。

M字はげを予防するために睡眠とストレスを管理する

睡眠不足やストレスは、頭皮の血行を滞らせて髪の成長に悪影響を与え、抜け毛も助長します。
髪の成長は睡眠中に最も活発に行われるため、睡眠不足は健康を害するだけでなく、M字はげのリスクとなります。厚生労働省は、成人は6時間以上の睡眠時間の確保を推奨しています※。質の良い睡眠はM字はげの進行を遅らせるだけでなく、病気やメンタル不調の予防や改善にも役立ちます。
また、ストレッチやウォーキングなどの簡単な運動を日常的に行うと、血行改善だけでなくストレス解消にもつながります。
※健康づくりのための睡眠ガイド2023 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

食生活の改善してM字はげを予防する

髪の毛のもととなる栄養として、タンパク質や鉄分をはじめ、髪の成長を促進するビタミンB群、髪の成長をサポートする亜鉛、毛根の再生を助けるビタミンDなどを積極的に取りましょう。
栄養は食事で摂取するのが理想的ですが、多忙で食事の栄養バランスがとれないという方は、食事の補助としてサプリメントを利用してもよいでしょう。

頭皮ケアでM字はげを予防する

皮脂や汚れで毛穴が詰まっていると、髪の成長が妨げられることがあるため、清潔な頭皮を保つことが大切です。
シャンプー時には指の腹で優しく頭皮をマッサージするように洗うと、頭皮の血行も促進されて、M字はげの進行を遅らせるのに効果的です。

禁煙(節煙)・節酒はM字はげの予防に有効

タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させる作用があります。髪の成長に必要な酸素や栄養が毛根に十分に届かなくなり、抜け毛や薄毛を助長するため、節煙や禁煙をおすすめします。
また過度な飲酒もM字はげを進行させる要因となります。アルコールの過剰摂取が睡眠の質を低下させたり、栄養不足を招いたりして髪の成長に悪影響を及ぼすため、進行が気になる方は、休肝日を設定したりアルコール量を控えるようにしましょう。

肥満の解消はM字はげの予防に重要

2012年に、日本人男性を対象とした研究で、肥満がAGAの進行に関連しているという研究成果が発表されました※。肥満度を表すBMI(体格指数)が25以上の人は、AGAになる率が高くなることが確認されたのです。
肥満は薄毛だけでなく、他の病気を引き起こす可能性があります。摂取カロリーの調整や運動など、肥満を改善する取り組みを行いましょう。

※「Association of androgenetic alopecia with obesity, hemoglobin a1c, low-density lipoprotein cholesterol, alanine transaminase, gamma-glutamyl transpeptidase and systolic blood pressure: a clinic-based survey in Japan」
https://www.fml.jp/society/record/fml-185.html

M字はげの進行を遅らせるためには、早期に対策を取ることが重要です。特に、髪の後退が始まった初期段階に対策を取ることで、進行を遅らせることもできます。

それでも進行するM字はげ(おでこハゲ)の治し方

男女ともに生活習慣の改善に取り組んでいてもM字はげが進行してしまう場合、あるいは男性のAGAの場合は、クリニックの治療で改善が見込めます。
クリニックでは、下記のような医学的に根拠のある薬が処方されます。

男性のM字はげに効果が期待できるフィナステリド

AGAの主な原因は、男性ホルモンの「テストステロン」と還元酵素「5αリダクターゼ」が結びついて生成される「ジヒドロテストステロン」です。ジヒドロテストステロンが乳頭細胞の受容体を結びつくと、ヘアサイクルが乱れて髪の成長期が短くなってしまい、薄毛が進行します。フィナステリドは還元酵素「5αリダクターゼII型」の働きを抑制し、ジヒドロテストステロンの生成を阻害する薬です。

男性のM字はげにお勧めのデュタステリド

フィナステリドと同じくテストステロンと還元酵素「5αリダクターゼ」が結びついて生成されるジヒドロテストステロンの生成を阻害する薬です。こちらは還元酵素「5αリダクターゼ」のI型およびII型の働きを抑制し、フィナステリドよりも強力にジヒドロテストステロンを抑制します。

女性のM字型薄毛(おでこハゲ)にミノキシジル

ミノキシジルには血管拡張作用があり、塗布することで頭皮の血流を改善し、毛根に酸素や栄養が届きやすい環境に整えます。また、同じ作用のミノタブと呼ばれる内服薬もあります。全身に作用するため、より高い発毛効果が期待できます。

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 医学博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

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