普段はあまり気にすることのない足のひざ。ところがミニスカートや短めのワンピース、ショートパンツなどを着たときに「ひざが汚れているように見える」「黒ずんで目立っている」などと気づくことはありませんか?
ひざの黒ずみは知らず知らずのうちに蓄積し、なかなか治ることがありません。さらに黒ずみだけでなく、周囲の皮膚と比べて厚ぼったく、ゴワゴワ・ザラザラしている場合も。
そこで今回のコラムでは、ひざの黒ずみの原因や予防方法、セルフケアや治療法などについて詳しく解説します。
ひざは何故黒ずむの?
ひざが黒ずむ理由は主に「メラニン色素の沈着」と、角質が過剰に厚く溜まってしまう「角質肥厚(かくしつひこう)」によるものです。その原因となる要素は複数あります。
圧迫や摩擦による刺激でひざが黒ずむ
ひざが黒ずむ最大の理由は、圧迫や摩擦などが日常的に加えられる「機械的刺激」「外的刺激」によるものです。
実はひざが黒ずみに悩む人種はほとんどが日本人です。これは日本人が長時間ひざを圧迫する「正座」をする機会が多いからと考えられます。ほかにもひざ立ちの姿勢やタイトなジーンズをよくはいたり、足を組んだり、エクササイズやヨガなどの運動をする際に硬い床にひざをついたりすることで、皮膚にくり返し圧迫と刺激が加わって黒ずみの原因となります。
さらにお風呂で体を洗う際に、ナイロン製のタイルやボディブラシなどでゴシゴシこすって刺激を与えることで、黒ずみを悪化させてしまう場合があります。
肌のターンオーバーの乱れでひざが黒ずむ
肌内部のメラニン色素はターンオーバー(新陳代謝)によって角質とともに剥がれ落ちるため、やがてもとの肌色に戻ります。ところが加齢などで代謝機能が低下すると、ターンオーバーの周期が長くなり、メラニン色素が蓄積されて肌が黒ずんだままになります。また角質の一部が溜まることで角質肥厚も起こり、肌に透明感がなくなってゴワついたりザラついたりします。
乾燥が原因でひざが黒ずむ
乾燥も黒ずみの一因です。肌が乾燥すると、水分が蒸発しないように肌を守る「バリア機能」を果たす細胞が損なわれて、皮膚の奥でつくられる細胞が未熟なまま表皮に移動します。そのため外部からの刺激に弱くなり、炎症によってメラニン色素が発生し、黒ずみやすくなります。
ひざは特に皮脂腺が少ないため、乾燥しやすい部位のひとつです。
紫外線(日焼け)の影響もひざが黒ずむ原因になる
屋外で過ごされる方に多いのが紫外線による影響です。ひざだけでなく紫外線が当たる全ての部位に言えることですが、強い紫外線を浴びることで皮膚内のメラノサイトからメラニン色素が過剰に分泌されて、いわゆる「日焼け」状態になり、肌が黒ずんでしまいます。
日頃からひざを露出する服装が多い方は要注意です。
黒ずみが起こりやすい他の部位
- ひじ(肘)の黒ずみ
ひざと同様に机にひじをついたり、衣類の摩擦やテーブルにつく習慣などから色素沈着を起こして黒ずんでしまうことがあります。衣類に隠される機会が膝よりも少ないため、紫外線によるダメージも大きくなります。 - お尻の黒ずみ
お尻も黒ずみやすい部位のひとつです。締め付けの強い下着やパンツ(ジーンズなど)の日常的な着用や長時間椅子に座るなどの行為が、皮膚に圧迫と刺激を与えて黒ずみの原因となります。
ひざの黒ずみのセルフケア
ひざの黒ずみの予防や改善を目指す、自分でできるセルフケアには以下のような方法があります。即効性はありませんが、ご自身の行動を見直して日々のケアを積み重ねることが、ひざの黒ずみを消す第一歩になります。
生活習慣を見直して圧迫や摩擦を減らす
生活習慣を見直して、ひざに圧迫や摩擦を与えないように注意しましょう。
正座を避ける、座る際にはひざを組まない、ひざ立ちの作業を行う際はひざ用のサポーターを使用する、エクササイズの際はマットを使用するなど工夫をしてみてください。
保湿ケアで乾燥を防ぐ
黒ずみの原因となる肌の乾燥を防ぐため、お風呂上がりなどに保湿成分の入ったクリームなどでひざを保湿しましょう。クリームを塗った部分に食品用のラップを巻くと、クリームと皮膚が密封されて有効成分が浸透しやすくなります。
その際には、ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの美白成分を配合したボディ用のパックやクリームを使用すると良いでしょう。
古い角質をオフしてターンオーバーを促す
ゴワつきやザラつきの原因となる角質肥厚を解消するには、溜まった古い角質の除去と、肌のターンオーバーを促すケアがおすすめです。
お風呂で湯船に浸かってひざの角質を柔らかくした後に、スクラブ剤をつけてやさしくなでるように洗います。ゴシゴシと強くこすると悪化する可能性があるため注意が必要です。スクラブ剤などでこれ以上刺激を与えたくないという方には、AHA(フルーツ酸)などが配合されたピーリングジェルがおすすめです。入浴時に古い角質を取り去るケアを取り入れて、習慣化してみてください。
ドラッグストアなどで販売されている市販のピーリング剤やクリームなどもありますが、しっかりケアしたいという方には美容皮膚科などの医療機関でのみ販売されているドクターズコスメがおすすめです。
紫外線を防いで予防する
ひざを露出する服装の日は、日焼け止めを使用するなど紫外線対策を行いましょう。スポーツなどで長時間日光にあたる場合は、汗などで日焼け止めが流れやすいため、こまめに塗り直してください。
重曹やスクラブなどで、ひざの黒ずみを除去する危険なセルフケア
インターネットなどでひざの黒ずみを除去する方法として、重曹を塗って発泡させる方法が紹介されていますが、危険なので行わないようにしましょう。
黒ずみが取れるという科学的な根拠はなく、油分を強力に分解する重曹によって肌を傷めてしまいます。刺激の強いスクラブ剤や強いマッサージも肌の炎症や色素沈着を促進し、症状が悪化する可能性が高いと言えます。
またニベアクリームを塗って黒ずみを解消しようとするセルフケアがありますが、ニベアには皮膚内部の色素を分解したり、ターンオーバーを促進して排出させたりといった効果は残念ながらありません。しかしながら、乾燥を防いだり、滑りをよくして肌同士のこすれを予防するという点においては有効です。
それでも治らないひざの黒ずみは美容皮膚科へ
生活習慣の改善やホームケアを続けても、なかなか黒ずみが取れないという方には、美容皮膚科の治療がおすすめです。当院では、ひざの黒ずみをはじめ、ひじの黒ずみ、お尻の黒ずみの治療を行っています。これらの黒ずみは、気になったときにはすでに症状が進行している場合が多く、セルフケアでは改善が難しい状態です。
クリニックでは、皮膚内部の色素をレーザーで分解し、美白効果の高い薬剤を使用するなどの、症状に合わせた改善に導く治療をご用意しています。
関連記事
- 【毛穴開き・黒ずみ】
40代から始めるたるみ毛穴・帯状毛穴の徹底解消法
- 【毛穴開き・黒ずみ】
シワに見えるたるみ毛穴・帯状毛穴はどうしたら治る?
この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら