ヒアルロン酸の入れ過ぎで不自然な顔になる?

「キレイになりたくてヒアルロン酸注入をしたのに、鏡に写る顔はどこか不自然…」
エイジングケアやプチ整形などで人気となっている施術・ヒアルロン酸注射。しかしヒアルロン酸注入を繰り返すうちに、失敗したと感じたり、仕上がりに違和感を感じたりするケースが増えています。美しさを追い求めて行った施術なのに、逆に不自然な顔になってしまう原因はどこにあるのでしょうか?
このコラムでは、ヒアルロン酸注射で不自然な顔になってしまう、失敗してしまう背景や注意点について解説します。

ヒアルロン酸注射(注入)とは?

ヒアルロン酸注射(注入)とは、注射によってもともと皮膚内に存在しているヒアルロン酸の製剤を注射(注入)して顔のシワや凹みを埋めたり、立体的なフェイスラインを形成したりする美容医療の一種です。ヒアルロン酸は保水性が高く、注入後にはハリやツヤ、弾力が出るといった美肌効果も期待できます。美容医療においては、顔だけでなく、手背や首などにも使用されます。
短い時間で治療が完了し、注射をするだけの手軽な治療であることや、注入直後から変化を実感できること、ダウンタイムが短いことなどのメリットが多い反面、注入する医師の技術などによって仕上がりが左右されるなどのデメリットもあります。

ヒアルロン酸注射(注入)に適したお悩みとは?

シワ・小ジワの改善

加齢や紫外線ダメージなどによって、肌の真皮層に存在するコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンといった弾力・潤い成分が減少します。その結果、肌のハリが失われて皮膚にシワやたるみができやすくなります。
お顔のシワや小ジワ、ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、眉間のシワ、首のシワなどの溝にヒアルロン酸を注射することで、皮膚の内側から肌を持ち上げ、シワを目立ちにくくすることができます。

ボリュームロスによるたるみの引き上げ

加齢によって失われるのはハリだけはありません。骨や筋肉、皮下組織、脂肪に構造的な変化が起こり、ボリュームが減少する事によって、顔にたるみが生じます。
ボリュームロスが生じた部位にヒアルロン酸を注射することにより、顔のたるみを引き上げることもできます。

目鼻立ちを整える

鼻を高くしたい、目の下に涙袋をつくりたい、おでこに丸みを出したいなどの整形治療も、ヒアルロン酸注射で行うことができます。
ヒアルロン酸は時間とともに体内で分解・吸収されるため、効果は一時的ですが、手軽に顔のパーツを整えることができます。

目の下のクマ・くぼみの解消

目の周囲の筋肉が衰えたり、皮膚のハリが失われることで、目の下にくぼみやたるみが生じ、黒いクマのように見えることがあります。
くぼんだ部分にヒアルロン酸を注入することで、皮膚の凹凸を浅くして、クマを解消に導くことができます。

手軽で人気のあるヒアルロン酸注射(注入)

このようにさまざまな美容効果が期待できるヒアルロン酸注射は、手軽にエイジングケアやプチ整形ができることもあり、美容医療の人気メニューとなっています。
ところが近年では、ヒアルロン酸注射によって不自然な顔になってしまった、失敗してしまった、という声をよく耳にするようになりました。その代表的な失敗例が、ヒアルロン酸の入れすぎによって、顔がパンパンになってしまう事例です。

ヒアルロン酸注射で顔パンパン!? 具体的な失敗例とは

それでは、ヒアルロン酸注射による失敗とはどのようなものでしょうか?
以前、当院にいらした患者さんから「ヒアルロン酸注射に興味はありますが、芸能人のような“ヒアル顔”にはなりたくない」と言われたことがあります。確かに鼻根や頬、目の下や唇などのパーツが不自然に膨らんだり、ヒアル顔・注射顔と揶揄(やゆ)されるパンパンに膨れている女性の顔を、テレビの中だけでなく街中にいる一般の方の中でも見かけることが増えました。
極端な膨らみすぎによるヒアル顔はなぜ起こるのでしょうか? 医師の目線からは、以下のようなことが考えられます。

患者さんの要望による入れすぎでパンパンになる

最も多いケースのひとつとして考えられるのは、患者さんのご要望によってヒアルロン酸を入れすぎてしまうケースです。
薬剤にもよりますが、ヒアルロン酸は注入から半年〜1年程度で体内に吸収されるため、術後の状態をキープするためには定期的な注入が必要になります。何度も注射を打ち続けると、目が慣れてしまって適量を注入しても物足りなく感じる方も出てきます。“もっともっと”と過剰な注入量を求めるうちに、膨らみすぎたヒアル顔になる場合があります。

医師に技量不足による失敗で不自然になる

ヒアルロン酸を適切な層に注入する技術を持っていない、注入量をコントロールできないという未熟な医師の場合、思うように仕上げることができず、つい入れすぎてしまう場合があります。
近年では、解剖学を学んだ医師たちが「どこにどのくらい注入するのが良いか」という部位を選択する手法がメジャーになりつつあります。シンプルな施術だからこそ、技術力が必要な治療と言えるでしょう。

ヒアルロン酸注射が適していない症状である

深いシワや大きいたるみなどの場合、ヒアルロン酸注射だけで治療を行うと多量のヒアルロン酸が必要になり、結果的に膨らみすぎて、はれぼったい不自然な印象の顔になる場合があります。
当院では、ヒアルロン酸注射だけでは解消が難しい症状の場合には、お悩みに適した別の治療をご提案しています。

ヒアルロン酸を入れすぎてしまいやすい部位は?

ヒアルロン酸をついつい入れすぎて、失敗してしまいがちな部位について説明します。

唇や鼻筋、額(おでこ)に入れ過ぎて不自然になる

SNSなどで積極的に美容医療情報を発信するインフルエンサーなどが登場したことによって若年層にも認知が広がり、主に二重整形やヒアルロン酸注射などの手軽な“プチ整形”を受ける方が幅広い世代で増加しています。
特にヒアルロン酸注射は、外科的な治療と異なり費用も体の負担も少なくことから、主に目鼻立ちを整えたり、小顔にみせたり、唇などのパーツを魅力に見せるためのヒアルロン酸注射が人気を集めています。
当院ではこういった形成的な注入は積極的に行っていませんが、唇や鼻筋、おでこなどに過剰に入れすぎてしまう不自然になるケースをよく見聞きします。これは医師の技量や知識、あるいは美的センスが大きく関わっていると考えられます。

目の下は入れ過ぎてしまいがち、ボコボコになりがち

もうひとつ、入れ過ぎてしまいがちな部位は目の下です。目の下は皮膚が薄いため、一気にヒアルロン酸製剤を注入すると入れ過ぎる場合があります。
そのため、当院では少量ずつ分けて注入を行います。例えば、1回目の注入時には1cc程度を使用して、患者さんも医師もこれでは物足りない、もうちょっと入れてもいいかなという状態から少しずつ足して、自然な仕上がりに仕上げます。

また、目の下は皮膚が薄いためボコボコになりやすく、チンダル現象も起こりやすくなります。チンダル現象とは透明な物質が光を反射・屈折させる現象です。透明なヒアルロン酸製剤が皮膚表面近くにあると、光が当たった際に皮膚が青白く透けて見えることがあり、違和感がある顔に見えてしまいます。

ヒアルロン酸を過剰に打ち続けると…

ヒアルロン酸の入れ過ぎの原因には、上記で述べたように、患者さんの思い込みによるもの、注入する医師の知識・技術不足によるもの、ヒアルロン酸注射が適していない症状によるものなどがあります。
また、最初から多くの量を決めて注入するクリニックも存在します。
ヒアルロン酸は適切な部位・皮膚の層・量を入れることで、自然で美しい仕上がりを目指すことができますが、過剰に打ち続けてしまうと、膨らみすぎで顔がパンパンになる、不自然に見えるといった残念な結果になってしまいます。

自力でヒアルロン酸を早く吸収できる?

それでは、入れすぎてしまったヒアルロン酸を早く吸収して、膨らみを落ち着かせることはできるのでしょうか?
一般的にはヒアルロン酸溶解(分解)注射で溶かす方法がありますが、注入したクリニックとは別の医療機関で受ける際に、どの層にヒアルロン酸があるのか正確に分からないことも多く、ヒアルロン酸が溶けきらない場合もあります。
また、自宅で注入部位にマッサージや圧迫を行う方もいらっしゃいますが、ヒアルロン酸が皮膚内で移動して不自然に見える可能性があるため、行わないほうが良いでしょう。
ヒアルロン酸の注入後に不自然な腫れやふくらみ出た場合、落ち着くまでに2〜3週間ほどかかりますが、自然にボリュームダウンするのを待つのが一番安全で穏やかな方法です。
ただし注入後の早い段階で強い痛みが続く場合は、血管にヒアルロン酸が詰まる血管塞栓症(けっかんそくせんしょう)の可能性があるため、施術を受けたクリニックにすぐに受診をしてください。

ヒアルロン酸を入れすぎないための、患者さん側の心得とは

“もっともっとヒアルロン酸を入れたい”とならないように客観的になる

ヒアルロン酸注射をリピートして受ける患者さんは大勢いらっしゃいます。誰が見ても美しい仕上がりを目指すには、信頼できる医師と仕上がりのイメージを共有し、客観的に見て美しいと思えるゴールを決めておくことが大切です。
当院では、患者さんに輪郭やデザインのイメージをご確認いただきながら、「このぐらいの仕上がりがベスト」「それ以上はちょっと不自然さが出てくる恐れがあります」などのアドバイスを行っています。仮に「もっと入れてほしい」と要求されても、一旦注入して1〜2週間後に納得できないときには、改めて相談に来ていただくようにしています。少量からスタートすることで、不自然になる、顔がパンパンになるリスクを回避しています。

お悩みや症状にあった他の治療を検討してみる

目元のたるみは、CPC-PRP®や線維芽細胞治療などの再生医療のほうが良い結果がでる可能性が高く、ヒアルロン酸注射では思うように改善しないケースが多くあります。
またフェイスラインの大きなたるみには、糸リフトをおすすめしています。皮膚が頬にたれ下がってくるとボリュームが出て、ヒアルロン酸を注入するとさらに顔が膨らんでしまうため、ボリュームを糸で引っ張って戻してあげる方法が良いでしょう。
フェイスライン改善には医療ハイフやインモードなども有効です。
このようにヒアルロン酸注射のみでは改善が難しい症状は、適した別の治療を選択することで良い結果が得られることがあります。

不自然な顔になりにくいエイジングケア治療

ヒアルロン酸注射だけでは取りにくい大きなシワやたるみを改善したい場合や、根本から肌のエイジングケアをしたいという場合には、他の美容治療や再生医療をご提案することもあります。
当院では、加齢で衰えた肌の機能を再生させる「CPC-PRP®」や「肌の再生医療(線維芽細胞治療)」をはじめ、大きなたるみや脂肪を除去してリフトアップやタイトニングを目指す「糸リフト・スレッドリフト」、「医療ハイフ」、「インモードVリフト(インモードリフティング)」など、それぞれのお悩みに適した施術をご用意しています。

銀座よしえクリニックのヒアルロン酸注入のこだわり

当院では、製剤や注入時の安全性の確保と、自然な仕上がりにこだわった治療を提供しています。

使用する製剤(ヒアルロン酸)へのこだわり

当院では、日本の厚生労働省に承認されたアラガン社のヒアルロン酸製剤と、アメリカのFDAが認可したテオシアル社のヒアルロン酸製剤を使用しており、どちらも純正品です。他のクリニックで見られるように、生理食塩水で薄めて使用することはなく、ヒアルロン酸をそのままの濃度で使用しています。

安全な施術へのこだわり

当院の総院長である廣瀬医師は、アラガン社の初代注入指導医として豊富な経験と深い知識を有しています。当院では他の医師においても、正確で安全な注入技術が確実に身につくように教育システムを整備し、プロトコルやマニュアルを策定し、勉強会を通じて技術向上を目指しています。

美しくナチュラルな仕上がりへのこだわり

ヒアルロン酸を注入する際は、注入量を慎重に調整し、少しずつ注入しながら自然な仕上がりになるように仕上げます。ヒアルロン酸注射による治療では顔がパンパンになる、あるいは不自然な仕上がりになる可能性がある場合や、大きなたるみの改善が求められる場合には、他の適した治療をご提案することもあります。

ヒアルロン酸注入などエイジングケア治療の関連施術

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 医学博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

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