
「顔が丸くなったせいで太って見える」「いつの間にか顔が大きくなった」「二重アゴが気になる」など、年齢とともに顔太りに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。顔が太るのは、脂肪の増加だけが原因ではありません。むくみや筋肉の衰え、普段の姿勢の悪さなど、日々の生活習慣が関係しています。このコラムでは、顔太りの主な原因と対策、さらには美容医療の治療について紹介します。
体重以上に見た目の印象を左右する「顔太り」の特徴
若いころは顔のパーツのバランスが整っていても、年齢とともに顔に脂肪がついてくると、目や鼻の印象まで変わって見えることがあります。40代以降になると、体重の増加や顔のたるみも加わり、顔まわりに脂肪がつきやすくなるため、顔全体が大きく見えることも。また、頬やアゴのまわりに脂肪がつきすぎると、二重アゴやほうれい線が目立ち、実年齢よりも老けて見えやすくなります。
顔は身体の中で一番目につきやすい部分です。フェイスラインがシャープになるだけで、全身の印象もすっきりと、若々しく健康的な印象になります。
顔に肉がつく人とつかない人何が違う?顔太りの原因とは
顔だけ太っている原因がたるみの場合
- ほうれい線が目立つ
- 太っていないのに二重アゴになった
- フェイスラインがぼやけてきた
年齢を重ねると、肌のハリを保つために必要なコラーゲンやエラスチンが少しずつ減っていきます。そのため、肌を内側から支える力が弱まり、弾力が失われていきます。さらに、顔の筋肉や骨も加齢とともに衰えていくので、肌や脂肪をしっかりと支えることが難しくなり、ほうれい線やフェイスラインのたるみが目立ちやすくなります。アゴが小さいなどの特徴がある方は、脂肪がアゴ下に溜まりやすく、たるみができやすくなることがあります。
加齢に加え、紫外線や乾燥といった外的要因も肌に大きな影響を与えます。紫外線はコラーゲンやエラスチンを破壊し、乾燥は肌のバリア機能を低下させてハリを失わせる原因になります。
また、スマートフォンやパソコンの長時間使用、猫背などの姿勢のクセがあると、首が前に出た「ストレートネック」になりやすくなります。ストレートネックになると、アゴ下の筋肉や脂肪のバランスが崩れ、アゴまわりに脂肪がつきやすくなるので、顔全体が大きく見えてしまうことも考えられます。
積み重なった骨格の歪みが顔太りをまねく場合
- 姿勢が悪く猫背
- 片側だけで噛んでいる
- 頬杖をいつも片側だけにつくことが多い
猫背や足を組む、横向き寝で同じ方向で眠る、頬杖をつくなどの日常のクセは、全身の骨格を歪める原因になります。骨格がゆがむと、筋肉のバランスも崩れ、一部の筋肉が過度に緊張したり圧迫されたりします。その状態が続くと、筋肉の周りを通っている血管やリンパの流れが悪くなり、体内の老廃物や余分な水分が滞り「むくみ」を引き起こします。
顔にむくみが続くと、顔がパンと張って大きく見えたり、フェイスラインがぼやけてシャープさが失われてきます。また、骨格のゆがみが進むと、顔の筋肉の使い方にも偏りが生じ、一部の表情筋ばかりが使われるようになります。その部分の皮膚に余計な負担がかかってたるみやすくなったり、実際よりも顔が大きく見えてしまいます。
体重が増えていないのに顔だけ太るのは、むくみの可能性がある
- まぶたや口元の腫れが目立つ
- 顔全体が腫れぼったい
- 顔の指で押すと跡が残る
むくみは、さまざまな要因が重なって起こります。よく知られている原因は、塩分や水分、アルコールの摂りすぎです。水分を過剰に摂取すると体内の水分バランスが崩れ、余分な水分を体の中にためこみやすくなり、顔や手足がむくんできます。
また、ストレスや疲労、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れもむくみの原因になります。女性の場合は、生理前や生理中、更年期など、ホルモンの変動によって、むくみが出やすくなります。
他にも、運動不足や長時間のデスクワーク、悪い姿勢も要因になります。体を動かさずに同じ姿勢を続けていると、血流やリンパの流れが滞って、老廃物や余分な水分の排出が悪くなり、慢性的なむくみの原因となります。
筋肉の過剰な発達が顔太りの原因になる場合
- フェイスラインが角張っている
- エラが目立つ
- エラ周辺が硬い
エラが張って見える原因には、「骨格」「脂肪」「咬筋(こうきん)」の3つがあります。生まれつき骨がしっかりしていてエラが張っている方もいますが、後天的にエラが目立つようになった場合は、脂肪や咬筋の発達が原因であることがほとんどです。
脂肪が原因の場合、皮下脂肪は全身に付きますが、顔の中でも頬やアゴまわりは脂肪がつきやすい部位です。エラの部分を触って柔らかければ、脂肪によってふくらんでいる可能性があります。体重の増加や加齢によって顔まわりに脂肪がつくと、フェイスラインがぼやけてエラが張って見えることがあります。
咬筋が原因の場合は、筋肉の発達によるものです。咬筋とは、ものを噛むときに使う頬の奥の筋肉で、無意識の食いしばりや就寝中の歯ぎしり、片側だけで噛むといったクセが続くことで発達しやすくなります。咬筋が発達すると、脂肪が多くなくてもエラの部分が横に張り出し、顔が四角く大きく見える原因になります。
顔に肉がついたのは脂肪が原因
- ここ数年で体重が増えた
- 触ると頬やアゴに弾力がある
- 顔全体に肉がついた
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、使いきれなかったエネルギーは脂肪として体内に蓄えられます。そのため、食べ過ぎや運動不足は脂肪が増える原因になります。40代以降になると、基礎代謝や筋肉量が自然と低下していくため、若い頃と同じ量を食べていても太りやすくなります。
また、年齢とともに仕事や家庭での役割が増えることで、ストレスが溜まりやすくなったり、運動不足になったり、睡眠時間が不足したりと、生活習慣が乱れやすくなります。ストレスや生活習慣の乱れは、代謝の低下やホルモンバランスの乱れを引き起こし、脂肪をため込みやすい体質につながります。
顔の中でも、頬やアゴまわりは脂肪がつきやすい部位のため、フェイスラインがぼやけたり、二重アゴが目立ったりして、顔全体が大きく見えてしまうことがあります。
スマートフォンやパソコンを見る時間が長く、下を向いた姿勢を長時間続けることが多くなっています。「ストレートネック」と呼ばれる首の前傾状態になると、アゴ下に脂肪やたるみが溜まりやすくなります。
すぐに始めたい顔が痩せる方法とは
顔太りに見えるたるみの予防
顔のたるみを防ぐためには、日々のケアが大事です。紫外線や乾燥は肌の老化を進めます。外出時はSPF30~50、PA+++以上の日焼け止めを使い、帽子や日傘、サングラスなどで紫外線対策を徹底すると安心です。洗顔後はすぐに、レチノールやビタミンC誘導体など有効な成分が配合された化粧水や保湿クリームで保湿しましょう。
また、姿勢が悪いとたるみや二重アゴを引き起こします。普段から正しい姿勢を意識して、スマートフォンやパソコンを使う際は、画面の高さを目線と合わせ、ストレートネックにならないよう注意しましょう。人と喋る機会が少なかったり、デスクワークが続いたりすると表情筋を動かす機会が減り、顔の筋肉の衰えが加速します。大きく口を開けて一語ずつ発声する「あいうえお体操」などを取り入れることは、意識的に表情筋を動かすことにつながり、たるみの予防になります。
顔太りにつながる骨格の歪みに注意する
骨格の歪みを改善するのは、日常的に正しい姿勢を意識することが大切です。骨格の歪みは簡単に治るものではありませんが、まずは正しい姿勢を意識して、立つとき、座るときは耳、肩、腰が一直線になるように心がけ、就寝時は仰向けで寝るのが理想です。
頬杖、足組み、片足重心、片側噛みなどのクセは歪みの原因となるため注意しましょう。
また、体幹を鍛えることで姿勢が安定し、顔への血流やリンパの流れも改善されます。体幹を鍛える手軽な方法は仰向けで膝を立てて、お腹を膨らませたり凹ませたりする腹式呼吸がお勧めです。
血行を促進させ、顔のむくみ改善で顔太り対策
顔のむくみや顔太り対策には、血行を促進し、むくみの原因となる生活習慣を改善するようにしましょう。規則正しい生活を送り、塩分やアルコールは控え、質の良い睡眠を意識することが大切です。水分は取りすぎも控えすぎもむくみの原因になります。適度な水分量は体重や活動量によって異なりますが、1日1.5Lを目安にコップ1杯程度を数回に分けてこまめに飲むのがお勧めです。
ホルモンバランスや生理周期を整えるためには、適度な運動やストレッチを取り入れ、入浴で体を温め、冷たいものの取りすぎに注意しましょう。耳から鎖骨までやさしくリンパマッサージすることで、血流改善効果が期待できます。
バナナやほうれん草などカリウムを含む食品を摂取することは、ナトリウムが排出されやすくなるため、むくみ対策になります。
太った顔を戻す方法、顔に肉がつきやすい食べ物は控えて
顔の脂肪が気になる場合は、まず食事の見直しが必要です。ファストフードやスナックなど、高カロリーで塩分の多い食品、脂質や糖質の多い甘いお菓子はなるべく控えるようにしましょう。
食事は、糖質、たんぱく質、脂質をバランスよく摂取することが大切です。特にたんぱく質を意識して筋肉量と基礎代謝の維持に努めてください。また、野菜や果物など食物繊維の多いものをとって腸内環境を整えることも効果的です。
さらに、ウォーキングなどの有酸素運動や、基礎代謝の低下を予防するための筋力トレーニングも組み合わせることで、脂肪減少効果が高まります。
エラ張りを防いで顔太りさせない
咬筋を発達させないためには、日中は上下の歯が当たらないよう少し開け、下は上の前歯裏の「スポット」と呼ばれる場所に置くようにすると、無意識の食いしばりを防ぐことができます。就寝中はマウスピースを使用することで歯軋りを防止できます。
ナッツやスルメなどを習慣的に噛んでいると咬筋が発達しやすくなりますので、エラのハリが気になる場合は控え、使いすぎたと感じたときはホットタオルを当ててほぐすと良いでしょう。すでに咬筋が発達してエラが張っている場合は、自分で改善するのは難しいため、美容クリニックのボトックス注射で筋肉をゆるめる治療がおすすめです。また、脂肪によってエラが張っている場合は、脂肪溶解注射やハイフ(HIFU)による引き締め治療が効果が期待できます。
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この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら