女性がつむじはげになりやすい理由とは?

照明が明るい洗面所などで頭頂部の地肌が目立っているのをみて「こんなに地肌が見えていたっけ…?」と感じたり、上から写した写真や動画で、分け目や頭のてっぺんの髪が薄くスカスカ見えて、ドキッとした経験はありませんか?
女性の薄毛は男性に比べて気づきにくく、すでにかなり進行していたという方も多いようです。そのまま対処をしないでいると、さらに進行する可能性が高いため、気になる方やお悩みの方は早めに対処することが大切です。現在では、女性の薄毛に対して有効と考えられる予防法やさまざまな治療法が登場しています。
このコラムでは、女性の頭頂部の薄毛・つむじはげの原因と予防法、治療を解説します。

女性の頭のてっぺんが薄い理由

男性の薄毛と比べて、女性の頭頂部が薄毛になる原因はさまざまあります。主に以下のような要因が考えられます。

生活環境による薄毛・つむじはげ

例えば、鉄分、亜鉛、ビタミンB群、たんぱく質などが不足すると、栄養不足により髪の成長が妨げられます。そのため急激なダイエットで薄毛になる場合があります。
また、過度なストレスも薄毛の原因となります。ストレスが加わると自律神経が乱れて交感神経が優位になり、血管が収縮して血行が阻害されることがあります。毛髪は血液から酸素や栄養を毛根から吸収して育つため、血行不良になると髪の毛が十分育たなくなったり、抜けたりする可能性が高まります。
ストレスによる睡眠不足も症状を悪化させます。栄養の偏った食事、ストレス、不眠などの不規則な生活環境は、薄毛の大きな原因となります。
さらに、カラーリングや頻度の高いパーマなど頭皮へのダメージが蓄積されると、毛根に悪影響が及び薄毛になることもあります。特に女性に多いのが、牽引性(けんいんせい)脱毛症です。ポニーテールやエクステ、ヘアアイロンの使用などで髪を強く引っ張ることで頭皮に負担がかかり、血行不良や毛根のダメージにより薄毛になります。
同様に、頭皮の血行不良を助長する喫煙も、つむじはげの原因となります。

加齢による女性ホルモンバランスの変化で薄毛になる

女性の薄毛の中でもっとも多い原因が、加齢による女性ホルモンのバランスの乱れです。
女性ホルモンであるエストロゲンの減少は、髪の成長に影響を与えます。頭のてっぺんを中心に広範囲に細く柔らかい毛が多くなり、地肌が透けて見えるような薄毛の原因となります。特定の箇所ではなく髪全体が薄くなることが多く、「びまん性脱毛症」と呼ばれています。

産後脱毛症による抜け毛や薄毛

産後脱毛症とは、妊娠や出産にともなう急激なホルモンの変化によって、髪の成長サイクルが乱れ、一時的に抜け毛が増える脱毛症です。この場合の脱毛は一時的なもので、個人差はありますが、半年頃をピークに1年程度で回復してもとの状態に戻ります。ただし、育児ストレスや高齢出産などで産後の脱毛症が長引いて、なかなか治らないという場合には、治療が必要になることもあります。

女性特有の薄毛・FPHLの特徴

FPHL(female pattern hair loss=女性型脱毛症)とは、女性に見られる薄毛の症状を総称する言葉です。2017年の日本皮膚科学会のガイドライン※で登場し、男性型脱毛症とは異なる脱毛症状や異なる時期に発症するため、新しく呼称されるようになりました。
症状として、髪のハリやコシがなくなって細い毛(軟毛)になり、1つの毛穴から生える本数が減って髪のボリューム全体が減少するという特徴があります。頭頂部を中心に広範囲にわたって徐々に髪の密度が低下する「びまん性」脱毛で、男性ほど薄く見えたり、短期間で極端に薄くなったりすることはありません。

FPHLは、ルードヴィッヒ分類によってⅠ型〜Ⅲ型の3つに分類されます。Ⅰ型は髪が細くなったり、ボリュームが減ったりする軽度の状態で、Ⅱ型は分け目が広がり、地肌が透けて見える状態です。Ⅲ型では薄毛が他の部位にも広がって、地肌がはっきり目立つ状態です。

ルードヴィッヒ分類

FPHLの原因には、遺伝的要因(例えば母親がFPHLであれば、娘もFPHLの発症リスクがある)、女性ホルモン(エストロゲン)の減少、ストレスや不規則な生活習慣などがあると考えられています。なかでも、40~50代以降に症状が顕著になる傾向があるため、閉経や加齢によるホルモンバランスの減少が寄与していると考えられます。

※「男性型および女性型脱毛診療ガイドライン 2017年版」

女性の頭頂部の薄毛やつむじはげの予防法

薄毛やつむじはげを将来的に予防する方法はあるのでしょうか? 病気以外の薄毛に有効と考えられるセルフケアをご紹介します。

発毛や育毛に必要な栄養バランスのとれた食事をする

極端なダイエットは避け、発毛や育毛に必要な栄養素が不足しないように、ミネラルや鉄分、亜鉛、タンパク質などが含まれる栄養バランスの整った食事を摂りましょう。
卵や鶏肉、魚、大豆製品などに多く含まれるたんぱく質は、髪の主成分である「ケラチン」の原料となります。また、女性の生理によって失われがちな鉄分が不足すると、髪の成長に必要な酸素が毛根に届きにくくなるため、レバーやほうれん草などを積極的に摂りましょう。毛母細胞の分裂に関与している亜鉛は、牡蠣、牛肉、ナッツ類などで補うことができます。

ストレスと上手く付き合ってつむじはげを予防する

過度なストレスは、ホルモンバランスや自律神経の乱れや男性ホルモンの分泌増加などを誘発し、結果的に髪の成長を妨げて抜け毛を助長することがあります。そのため、ストレスを上手に解消することが、つむじはげの予防につながります。
適度な運動はストレスを減少させて、「幸せホルモン」と呼ばれるエンドルフィンを分泌させるため、心身をリフレッシュします。またマッサージやお風呂で湯船に浸かる行為も、体の緊張を解きほぐしてリラックスできるため、ストレス解消に役立ちます。

良質な睡眠で髪の成長を促す

睡眠と薄毛の関係は非常に深く、良質な睡眠は髪の成長と健康に欠かせません。
睡眠中に脳下垂体から分泌される成長ホルモンは、髪の成長に影響を与える成長因子を刺激し、毛髪の成長を促進します。成長ホルモンは深い睡眠時(ノンレム睡眠)に最も多く分泌されることから、ぐっすりと眠ることが重要です。
毎日同じ時間に入眠・起床をくり返す規則正しい睡眠習慣や、目や脳を休めるために寝る前のスマホやPCの仕様を避ける習慣は、質の良い睡眠を得やすくなります。

過度なヘアケアを避ける・ヘアアレンジ習慣を変える

毛根にダメージを与えるカラーやパーマは、なるべく間隔を空けて行い、負担を減らしましょう。
牽引性脱毛症の場合は、髪を引っ張りすぎないように、また、ポニーテールなどいつもと結び方を変えて同じ部位にダメージが蓄積しないようにしましょう。

禁煙・節煙で抜け毛、薄毛を防ぐ

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。髪の成長に必要な酸素や栄養が毛根に十分に届かなくなり、抜け毛や薄毛を助長するため、喫煙をやめることをおすすめします。

女性ホルモンの乱れによる薄毛は、頭皮の血行改善を

生活環境の改善に加えて、血行改善ケアを行うこともおすすめです。
頭皮マッサージで毛細血管の血流が良くなると、髪の成長に必要な栄養が毛に行き渡り、健康な髪が育ちやすくなります。
頭皮全体を指の腹で優しく数分間圧迫しましょう。爪をたてたり、強い力でもみこんだりするのは逆に頭皮を傷めるためNGです。マッサージには他にもリラクゼーション効果やストレス軽減効果があります。

それでも改善しない女性の頭頂部の薄毛やつむじはげはクリニックへ

FPHLは進行性の脱毛症であり、セルフケアだけでは改善が難しい場合もあります。早めに専門の医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
当院では内服薬をはじめ、発毛や育毛に有効な栄養や薬を頭皮に直接注入する治療、毛根を復活させる再生医療など、FPHLをはじめとした頭頂部の薄毛やつむじはげに有効な、医学的な根拠のあるさまざまなアプローチの治療をご用意しています。

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 医学博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

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