日常的にマスクを着用する生活が続いていることから、それに伴って加齢が進行したと感じる人が増加しています。

マスク生活で目立つように? 老けて見える「ほうれい線」の3つの原因

なかでも患者様からよくお伺いするのが、「マスク外したら、ほうれい線が目立つようになった」「マスク生活でほうれい線が悪化した」という相談です。
果たして本当にマスクでほうれい線は深刻化するのでしょうか? 老けた印象を与えるほうれい線の真実と、その治療方法を医師がお答えします。

マスク生活でほうれい線は悪化しない

最初に結論から述べますと、マスク生活とほうれい線の深刻化には直接的な因果関係はありません。
おそらくですが、2020年1月から約2年間マスク生活が続いたためにその間の加齢の進行に気づきにくく、ある日突然老化していることを自覚したという可能性が考えられます。医学的にはマスクでほうれい線が濃くなるというエビデンスはありません。
ただし、マスクで肌が荒れるという方は一定数いらっしゃいます。
この場合、マスク布が肌の刺激となっている可能性があるため、マスクを外したあとは軽く洗顔して顔に付いた繊維を洗い流し、保湿などのスキンケアを行うと良いでしょう。

ほうれい線が濃くなる原因

ほうれい線はなぜできるのでしょうか? その理由には、以下のようなものが挙げられます。

加齢に伴うたるみが原因の場合

ひとつは重力の影響によって中顔面が垂れ下がることにより、ほうれい線が深く見えるケースです。
顔の組織を支える骨格が加齢に伴ってだんだんと萎縮していくことや、脂肪を引っ張っている靭帯(リガメント)のゆるみ、筋肉の衰えなどさまざまな要素が重なって、最終的に全体的に組織が垂れ下がり、ほうれい線が現れます。

肌の弾力不足が原因の場合

加齢や栄養不足などで、コラーゲンやヒアルロン酸などの弾力を支える成分が不足すると、肌の弾力が弱くなり、皮膚が垂れ下ってほうれい線が深くなる場合があります。
これらの弾力成分を生み出す、真皮層の線維芽細胞の働きが弱くなることが原因と考えられます。

筋肉や骨格が原因の場合

そもそもほうれい線とは、鼻翼から口角をつなぐ「ミゾ」のことを指します。笑ったときに出る表情ジワで、通常の加齢によって現れるシワとは異なります。
その方の骨格と筋肉の構造によって、10代からほうれい線があるという方も実はいらっしゃいます。このようなほうれい線は、組織の衰えや肌の弾力不足によってできるものではないため、筋肉や骨格が原因の場合は、特に治療の必要性はありません。

ほうれい線ができにくい人・できやすい人の特徴は?

ある程度加齢するとほとんどの方に現れるシワとは異なり、ほうれい線はできにくい方とできやすい方がいらっしゃいます。
例えば、ふくよかな方のほうれい線は目立ちにくく、痩せている方のほうが目立つ印象があります。脂肪や肌の弾力がある方は、表面の皮膚がピンと張っていて、凹みが目立ちにくいのではないかと考えられます。
また皮膚の弾力が低下している方は、全体的に組織が垂れ下がってきますので、体型に関係なくほうれい線ができやすい印象です。

ほうれい線におすすめの美容治療

ほうれい線は、老け顔に見える大きな要因です。年をとってもほうれい線が目立たない綺麗な人をみると、あんな風になりたいと思う方も多いのではないでしょうか。
美容医療には、ほうれい線を目立たなくするさまざまな施術があります。

ほうれい線の周辺のたるみをリフトアップする治療

まずは、ほうれい線の周辺のたるみをリフトアップさせて目立たなくする治療です。
リフトアップするマシン治療には「医療ハイフ」「ReLift(リリフト)」があります。どちらもエネルギーを組織に照射して、ほうれい線の周囲を引き上げて目立たなくさせます。
筋膜まで届く超音波エネルギーを使用する「医療ハイフ」は、肌の深い部分からのリフトアップが可能です。一方、「ReLift(リリフト)」は高周波によって皮膚のたるみを引き上げます。どちらもダウンタイムがほとんどなく、ナチュラルに仕上がります。

ほうれい線の「ミゾ」を埋める治療

つぎに、ほうれい線の「ミゾ」を埋めて、目立たなくする治療です。
ヒアルロン酸注入」は、人体に安全なヒアルロン酸製剤をほうれい線に入れて、くぼんだ部分をボリュームアップして平らにする治療です。注入してすぐに効果が実感できるというメリットがあります。

ほうれい線ができにくい肌をつくる再生医療

最後に、ほうれい線ができにくい肌をつくる再生医療があります。
患者さまのなかには「異物を顔に入れるのがイヤ」「副作用が心配」と感じる方がいらっしゃいます。そのような方には、ご自身の血液や線維芽細胞を応用した再生医療をおすすめしています。この2つの治療は、肌の土台をつくるコラーゲンやヒアルロン酸などの弾力を支える成分の生成を促して、肌のハリや弾力を回復させることによりほうれい線を浅くする根本治療になります。
CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)」は、ご自身の血液から抽出した高濃度の血小板を注入し、血小板から放出される成長因子の作用によって弾力成分を再生させて、ほうれい線を改善する治療です。
線維芽細胞治療」は、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの弾力成分を生成する働きのある線維芽細胞を患者さまから採取して培養・増殖し、ほうれい線周辺に移植する治療です。ご自身の肌細胞そのものが増えるため、活発に弾力成分を生成するようになります。
これらの再生医療は治療だけでなく、将来のほうれい線予防としても有効です。しかしながら即効性はなく、長い目でみて肌の老化を遅くする治療になります。

ほうれい線の治療は組み合わせ治療で相乗効果がある

また、単体治療を症状によって組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
例えば、「ヒアルロン酸注入」と「ボトックス注射」などの注入治療や、たるみ引き上げ治療「糸リフト」と組み合わせて、「CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)」や「線維芽細胞治療」などの再生医療を同時に行うと、すでに現れている症状を即効的に改善しながら、同時に根本的な若さも引き出すことができます。

患者さまから「ほうれい線が絶対消える治療はありますか?」と質問をいただくことがあります。例えばヒアルロン酸を3〜4本入れることで一時的に肌を平らにすることは可能ですが、顔が膨張したような印象になり不自然な仕上がりになります。
どの治療も症状を一定期間緩和するもので、個人差はありますが、例えば「ヒアルロン酸注入」「CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)」は、約1〜2年間効果の持続が期待できます。
現在のところほうれい線が「絶対消える」治療はありません。

ほうれい線の治療は組み合わせ治療で相乗効果がある

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

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