男女問わずお悩みの方が多い薄毛やはげ(禿髪)。再生医療による最新のハゲ治療をご紹介します

薄毛の人を指す別称に「はげ(禿髪)」があります。全く髪の毛がないツルツルした頭部を想起させる言葉ですが、「若ハゲ」「M字ハゲ」といった薄毛の状態を示す場合にも使用されます。
頭皮が透けて見える程度の薄毛状態であれば、AGA治療などが有効に感じられますが、完全に毛髪がなくなったハゲ(禿髪)の場合は効果があるのでしょうか? それとも、どうしようもないのでしょうか?
このコラムでは、いわゆるハゲ(禿髪)状態になる方の原因や予防、ハゲや薄毛の進行を遅らせる対策、そしてはげ治療に効果が期待できる最新の再生医療をご紹介します。

禿げやすいひとや薄毛になりやすいひとの特徴とは?

ハゲを医学的に定義すると「もう毛が生えてこなくなった毛根、あるいは消滅してしまった毛根が、頭皮のほとんどを占める状態」であると考えられます。
薄毛とは、毛が生える毛根(毛包)の密度(頭皮に存在する毛包の数)がだんだんと低下していく、はげ(禿髪)の前段階であると言えるでしょう。

はげや薄毛の原因について

毛は毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる一定の周期で発育します。頭髪は、数年間の成長期を経たあとに、2〜3週間かけて毛根が退化していく退行期を迎え、やがて毛根の成長が完全に止まってしまいます。(休止期)。その後ふたたび毛根が形成されて、毛母から新しい毛が生まれ、この毛に押し出される形で古い毛が抜け落ちます。

男性のハゲの大きな原因としては、男性ホルモン型脱毛症(AGA)が挙げられます。
AGAとは、テストステロンが毛包でDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるより強力な男性ホルモンに変換されて、ヘアサイクルが乱され毛包を強力に萎縮させる事で起こる脱毛症です。
男性ホルモンであるテストステロンは血流にのって毛乳頭に届いた際に、5αリダクターゼという酵素の働きでDHTが生成されます。DHTは毛母細胞の分裂を抑制し強力に毛包を萎縮させてしまいます。

TGF-β1発毛の抑制作用成分

その結果、本来であれば数年続く成長期が数カ月〜1年程度に短縮されて早期に退行期を迎え、短期間で抜け落ちます。さらに髪の毛が十分に成長できないため、細い毛が多くなり、地肌が透けて見える薄毛状態になってしまいます。

女性の薄毛やはげ(禿髪)の原因はさまざまです。
大きな原因のひとつにホルモンバランスの異常があります。女性も男性ホルモンは常に少量ですが分泌されています。女性ホルモンが減少した結果、相対的に男性ホルモンの割合が優位になると、AGAと同じ様な状況となり抜け毛や薄毛がはじまります。これは男性のAGAと全く同じメカニズムで男性ホルモンであるテストステロンがDHTに変換されて、ヘアサイクルを乱して薄毛を進行させます。
男性ホルモンが優位になる理由のひとつには、加齢によるエストロゲン(女性ホルモン)の減少があります。エストロゲンの分泌量は30歳くらいがピークで徐々に減少していき、閉経後にはほとんど分泌されなくなります。また妊娠や出産、ストレスなどでもホルモンバランスが乱れて、男性ホルモンが結果的に優位になる場合があります。
近年では、不規則な生活を送りながらバリバリ働く女性も多くいらっしゃいますが、睡眠や食事などを削って働く方は、その生活ストレスが薄毛になる原因の一つと考えられます。激務が続いた時など、肌荒れ、脂性肌で化粧のノリが悪くなったり、口周りの産毛が濃くなったりした経験はあるかと思います。これはストレスによってテストステロンが多量に分泌され、皮脂腺を活性化させて脂性肌を引き起こしたために、肌が荒れたり、口周りの産毛を濃くするのです。こうなると頭皮も男性同様の環境に晒され薄毛のリスクになると考えた方がいでしょう。

女性の薄毛のその他の理由としては、

  1. 過度なダイエットや食生活の乱れによって、髪の毛の育成に必要な栄養が十分摂取できていない。
  2. 喫煙によって、毛細血管が収縮して頭皮の血行が阻害され、包に栄養や酸素が届かなくなる。
  3. 頭皮の洗浄不足で、頭皮が不潔になるだけでなく皮脂詰まりを引き起こし、感染も助長し、髪の毛の成長を阻害する。

などの原因が挙げられます。

こうしたさまざまな理由が女性の薄毛やハゲの原因となるため、当院では女性の薄毛をFAGA(female AGA=男性ホルモン(エストロゲン)由来の女性の脱毛症)ではなく、FPHL(Female Pattern Hair Loss=女性型脱毛症)と呼称しています。

なお、睡眠不足や不規則な食事、ストレスは、男女問わず薄毛やハゲの原因になりますので、男性であっても注意が必要です。

薄毛やはげ体質は遺伝で決まる?

本来生まれ持った体質でハゲになることはあるのでしょうか?
我々ヒトは、母親のX染色体と父親のY染色体もしくはX染色体を受け継ぎ、XXの時女性、XYの時男性として生まれますが、薄毛の遺伝子はX染色体が有していることがわかっています。ということは、男女ともに薄毛の先天的リスクを背負っていることになります。
必ずAGAを発症するわけではありませんが、母方の祖父や曾祖父が薄毛の場合、子供がAGAを発症する確率は高くなります。
また、AGA発症の原因となるDHTを合成する酵素5αリダクターゼ活性が遺伝すると言われています。

さらに、男女ともにハゲ(禿髪)の大きな原因となるテストステロンの分泌量ですが、テストステロン値が高く男性機能が強い人はDHT(ジヒドロテストステロン)にも多く変換されるため、ハゲやすいという傾向があります。

まとめると、遺伝的に薄毛になりやすい要因をもっている人、テストステロン値の高い人、閉経や妊娠・出産、ストレスなどでホルモンバランスが崩れた女性、喫煙する人や生活習慣が乱れた人は、ハゲやすいと言えるでしょう。

はげや薄毛は自分で治すことができる?

はげ(禿髪)や薄毛の効果的な改善方法としてクリニックでの治療があります。
しかし「ストレスが溜まっている」「食生活が乱れている」「喫煙している」という方は、治療の前に生活習慣を見直すことも重要です。

髪の成長を促す毛乳頭周囲には毛細血管が多く、血液から栄養や酸素を受け取っています。喫煙は血行に悪影響を与えるため、禁煙は必須です。ホルモンバランスの異常を引き起こすストレスの原因もしっかり見直してみてください。
最も重要なのが食生活の改善です。毛が生えるために必要な亜鉛やミネラルなどの微量因子をきちんと摂取できるように、食の偏りをなくしましょう。

市販の育毛剤を利用したりマッサージしたりして、頭皮の血流を促進するケアもおすすめです。

薄毛やはげの治療について

一般的なハゲや薄毛の治療には、飲み薬による治療とぬり薬による治療があります。
男性の飲み薬には、AGAの原因となるDHTの合成を阻害する「フィナステリド(プロペシア)」、「デュタステリド(アボルブ)」があります。
女性の薄毛治療に用いられる治療薬には「スピロノラクトン」があります。
スピロノラクトンは本来、高血圧の方などに処方する利尿薬でしたが、卵巣での男性ホルモン産生を抑制し、DHT減少に働きかける作用があるため、女性のFPHL治療にも使われるようになりました。
男女問わずに使用できる治療薬には、頭皮の毛細血管を拡張させて栄養を毛根に届ける「ミノキシジル」があります。

よく「AGAは発症したら終わり?」「薄毛になったら元にはもどらないの?」と患者さんに聞かれますが、抜け毛をストップして、発毛・育毛を促進する治療はあります。ただし、すっかりハゲてしまった毛髪を元のように生やすということはなかなか難しいのが現状です。

はげや薄毛の最新治療法とは

そこで、AGAや薄毛の治療以外の発毛・育毛治療として期待されているのが、再生医療技術を応用した治療になります。
再生治療には、PRP(多血小板血漿)を使用した治療、幹細胞培養上清を使用した治療、脂肪組織由来幹細胞を使用した治療と大きく3種類の治療があります。

PRP治療

PRP治療とは、患者さんご自身の採取した血液から血小板を濃縮して、頭皮に注射で注入する治療です。
血小板にはさまざまなサイトカインや増殖因子が含まれており、それらが毛根にある毛乳頭の発育を促して発毛を図ります。また頭皮に毛細血管を新しく作り出し、血流を改善して毛球に酸素と栄養を与えることで、太い毛に育てます。

幹細胞培養上清を使用した治療

幹細胞培養上清とは、幹細胞が分泌する成分を豊富に含んだ上澄み液のことです。幹細胞由来の多種のサイトカインや増殖因子、エクソソームなどが含まれており、これらの因子が注入された頭皮内で細胞を活性化させて、発毛・育毛を促進します。これはパラクライン効果と呼ばれており、含まれる因子の構成はPRPと異なりますが、その働きはPRPと同様です。

脂肪組織由来幹細胞を使用した治療

患者さんご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖し、頭皮に注射で注入する治療です。
投与された幹細胞は一定期間生存しながらさまざまな増殖因子を放出し、毛包に刺激を与えて毛を生やす目的で行われます。

上記3種類の治療は、どれも発毛・育毛のメカニズムは同じです。
血小板から放出される/幹細胞培養上清に含まれる/幹細胞から放出される、多種多様なサイトカインや増殖因子、エクソソームなどが、頭皮の細胞や毛根に働きかけて発毛・育毛を促します。
どの治療にもそれぞれのメリットがありますが、費用対効果や安全・安心の面から考えるとPRP治療が優れていると言えます。

CPC毛髪再生プラスについて

当院では、院内のCPC(細胞プロセッシングセンター)で製造したCPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)を使用した発毛・育毛治療を提供しています。
患者さんご自身血液から作成したCPC-PRP®には、髪の発毛・育毛に効果が期待できる成長因子やエクソソームなどが豊富に含まれており、頭皮に注入することで毛根に栄養を与え、同時に頭皮改善や毛周期のサイクルを整える働きが期待できます。院内CPCで作成されたCPC-PRP®は、血小板の濃縮率と成分の回収率が特に高く、治療によってオーダーメイドで濃度を変えることができます。
加えて、ヒアルロン酸やビタミン、アミノ酸をベースに作られた製剤「Cellbooster®HAIR(セルブースターヘア)」を頭皮に注入します。注射で注入する際に少し痛みはありますが、麻酔などの除痛対策も行いますので、安心して受けていただくことができます。

頭皮改善と毛根の再生、発毛、太くコシが強い髪を育てる育毛効果が期待できるほか、抜け毛予防効果も期待できます。
髪質が変化して、毛が細くなってきたと感じた時点で治療をスタートすると、治療効果も早く出ることが期待できるほか、治療費などの負担も軽く済みます。
すっかりハゲてしまう前に、治療を始めると効果の現れ方もスピーディです。

治療は5回1クールで行い、最初は月に1回注射で投与します。平均で2〜3カ月を過ぎた頃に、髪にハリやコシが出るなどの効果を実感していただけます。
治療終了後は改善され頭髪環境の維持のため、アフターフォローとして2カ月に1回の注射を行います。

CPC毛髪再生プラス(CPC-PRP®+セルブースターヘア)について詳しくはこちら

その他の毛髪再生療法

脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清(他家)・ISC点滴

幹細胞の培養上清とは、幹細胞を培養する際に得られる、エクソソームやサイトカインが豊富に含まれた上澄み液のことです。点滴することで、頭皮の炎症を抑えて毛細血管を増強し、毛根に栄養を届けて発毛・育毛に導きます。

脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清(他家)・ISC点滴について詳しくはこちら

CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)療法

ご自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を高濃度に濃縮して、頭皮に注入する治療です。血小板に多量に含まれる成長因子や抗炎症サイトカインが、毛根に栄養を与えてながら、発毛しやすい健康な頭皮に導きます。

CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)療法について詳しくはこちら

男性でも女性でも、抜け毛が増えて薄毛が気になる、ハゲて後悔したくないという方は、どうぞ当院にご相談ください。

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

Related posts