皮膚科医が実践する、日焼けシミにならないケアと治し方

いよいよ紫外線が気になる季節がやってきます。紫外線を浴びすぎて日焼けをしてしまうと、シミの原因になるばかりか、肌の老化も促進してしいます。
そうならないためには、正しい紫外線ケアを行って日焼けを防ぎ、シミができてしまった場合は適切なケアや治療を行うことが大切です。
シミはお顔にあっても一利なし! 今回は、シミを予防するために皮膚科医が実践しているケと、できてしまった顔のシミを消す方法をご紹介します。

紫外線はどのくらい浴びても良いの?

私は皮膚科医として、一般皮膚科(保険診療)と美容皮膚科の両方の診療を行っています。当院にも、「日焼けしてシミが増えた」と、ご来院される方が多くいらっしゃいますが、個人的には紫外線を浴びることは一切駄目だとは思っていません。日焼け対策をしっかり行ったうえで、普通に生活していただいて問題ないと考えています。
ただし、強い日差しの中に長時間いることは、極力避けたほうが良いでしょう。体質にもよりますが、強い日差しの中に無防備にいると、5〜10分程度で日焼けをしてしまいます。
皮膚の軽い炎症のことを「日焼け」と呼びますが、人によっては赤みが出て、その後色素沈着を起こしてシミになってしまいます。日光に当たって肌が赤くなるのは、炎症が起きている証拠です。夏だけでなく冬場も、長時間紫外線を浴びるのは避けたほうが賢明です。

シミ予防の基本は、日焼けをしないこと

「日焼けシミにならない方法はないですか」と、患者様から質問をいただくことがありますが、まずは日焼けを防ぐことが大切です

一番簡単な方法は、シミができないように日焼け止めを使用することです。ただし、なんとなく塗るのではなく、正しい手順でムラなく塗ることが大切です。
お顔には部位によって凹凸がありますが、一般的に突出しているところが日焼けしやすいと言われています。そのため、おでこ、鼻先、頬骨のあたり、あご先に、UV剤をちょんちょんと置いて、そこから周囲にくるくると伸ばしていくように塗ると、必要な部位をきちんとカバーできて効率的です。
日焼け止めには「紫外線吸収剤(ケミカル)」を使用したものと「紫外線散乱剤(ノンケミカル)」を使用したものの2種類があります。吸収剤に対して敏感な方は、散乱剤使用のUV剤を選ぶようにしてください。どちらも肌に合うのであれば、使用感が良いものを使うと良いでしょう。
日常的に使用するのであれば、SPP30・PA+程度で充分ですが、屋外での活動が多い方はもう少し高めの数値のものを選んでください。
さらに外出時は、帽子や日傘、サングラスなどを利用して、日光が直接当たらないように工夫しましょう。

うっかり日焼けしてしまった時のシミ予防法

うっかり日焼けしてしまった時には、シミにならないように肌の炎症を鎮静するケアが必要です。水に濡らしたタオルなどをあてて肌のほてりを取り、クールダウンさせた後に保湿してください。
また、抗酸化作用で紫外線ダメージから肌を守る働きが期待できるビタミンCやカロチン等が多く含まれる食品を多く取るとシミ予防に効果的です。

日焼けによるシミはホームケアで消せる?

また「家で簡単にシミを消す方法はないですか?」というご質問をいただくこともあります。
結論から申し上げますと、高級美白化粧品を使っているから希望通りシミ消えるということはありません。一般的なスキンケア用品は、薬でもなければ治療でもないため、過度な期待を持つと裏切られることになります。

ドラッグストアなどで手に入る“シミを消す”と謳っているビタミンCなどが配合された飲み薬や、美白効果のあるハイドロキノンを配合した医薬品などは、ある程度シミを薄くする効果が期待できます。
ただし市販の医薬品は、安全性の観点から有効成分の配合濃度に上限があり、クリニックなどで処方する薬のよりもマイルドな効果になると考えられます。
さらに、できているシミの種類(炎症後色素沈着、老人性色素斑、肝斑、そばかすなど)によっては効果が及ばないケースもありますが、ご自身のシミがどのタイプなのかを自分で判断することが難しいでしょう

顔のシミを消す方法の最適解は、やはりクリニックでの正しい診断に基づいたシミ治療と言えるでしょう。

濃いシミは秋から春先に取るのがいい?薄いシミは1年中OK

日焼けでできたシミにもいくつか種類がありますが、くっきりしている老人性色素斑であれば「シミ取りレーザー(QスイッチNd:YAGレーザー)」がおすすめです。
全体的に黒ずんだシミならば「レーザートーニング」や、「フォトフェイシャルM22」「ライムライト」などのIPLマシンが適しています。
これらの治療は、日焼けした炎症が治まったあとに施術可能ですが、シミ取り治療は秋から春先の紫外線が弱い季節が最も良いと言われています。
治療後の肌はデリケートな状態であり、紫外線に当たることで、シミの再発や悪化を引き起こす可能性があります。紫外線が少ない季節は、このリスクを最小限に抑えることができます。
また日焼け直後の炎症がまだ残っている場合は、レーザー治療はお勧めしておりません。
まずは炎症を抑える治療を行います。当院の処方薬には内服薬とぬり薬がありますが、基本的にレーザー治療などと組み合わせて使用します。

また、メラニンの生成を抑えてシミを防ぐ美白有効成分「トラネキサム酸」を配合したローション、乳液、クリームなどの化粧品もご用意しています。治療後の刺激を鎮静しながら美白するため、こちらも治療と同時にお使いいただくことをおすすめしています。

当院では、ただ施術を行うだけではなく、患者様の目的達成のために責任を持ってホームケア指導まで行っています。治療前後にホームケアを行っていただくことで、レーザー治療の効果を高めて、さらに効果の持続延長も期待できます。

この記事の監修医師

銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬 嘉恵 医師

銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士

  • 東京大学大学院医学研究科修了 博士号取得
  • 日本再生医療学会再生医療認定医
  • 日本再生医療学会代議員
  • 日本皮膚科学会会員
  • 日本美容皮膚科学会会員
  • 日本美容外科学会会員
  • 国際抗老化再生医療学会会員
  • 日本温泉気候物理医学会会員

銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら

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