
若い頃はすべすべで滑らかだった手の甲に、だんだんと現れてくるシワ、くぼみ、血管浮き…。手の老化は目立ちやすく、「人の年齢は首と手に出る」とも言われているため、お顔と同じようにお手入れしたいパーツです。
今回は手の老化現象の原因とケアの方法、さらには手のエイジングケアができる治療をご紹介します。
手のシワは、なぜ現れる? 手のシワの原因とは
お顔と違って、毎日手をケアしているという方は少ないのではないでしょうか。そのため、手にはありのままの老化現象が現れやすくなります。
手は顔よりも皮脂腺が少ないため、加齢だけでなく、毎日行っている「何気ない習慣」や「外的刺激」によっても進行します。
水仕事やさまざまな作業で酷使されることもあって、老化が進行しやすいパーツであると言えるでしょう。
手の加齢症状はどのような原因で現れるのかを解説します。
加齢による手のシワ・小ジワの原因
若い方の肌には弾力があり、むちむちとしています。これは皮膚内部に存在する線維芽細胞が、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの弾力を保持する成分を豊富に産生しているためです。しかし加齢が進むと線維芽細胞の働きが弱まり、弾力が衰えてシワが現れはじめます。
水仕事や手洗い・アルコール消毒が手のシワの原因になる
水仕事や洗いやアルコール消毒、洗剤などによって皮脂が過剰に除去されると、皮膚のバリア機能を壊され、角質層の水分が蒸発して乾燥が進む原因になります。乾燥した肌は柔軟性を失い、細かいひび割れが発生しやすくなり、皮膚の凹凸を作ってシワのように見える原因になります。浅いシワが深くなると、実年齢以上に老けた印象を与えてしまい、手荒れやひび割れは、シワの形成へとつながります。
洗剤・化学物質の成分が手のシワの要因
洗剤に含まれる界面活性剤などの洗浄成分は、食器などの油汚れを落とす際に皮膚表面の皮脂膜までも洗い流してしまいます。皮脂膜が失われることで皮膚のバリア機能が低下し、手の乾燥を引き起こします。素手での家事作業は、手のシワやくすみを悪化させる大きな要因です。乾燥状態が続くと、肌のターンオーバーが乱れて角質が厚くなり、手の甲がごわついて老けた印象を与えます。
紫外線による光老化で手のシワが深くなる
意外と見落とされがちなのが、紫外線(UV)による手の甲の老化です。手の甲は皮脂腺が少なく乾燥しやすいため、バリア機能が低下しやすく、紫外線による光老化の影響を受けやすい部位です。
外出時に日焼け止めを顔に塗っても、手には塗らない人が多く、紫外線ダメージが蓄積しやすくなります。紫外線は真皮内のコラーゲンやエラスチンを破壊し、皮膚のハリを失わせ、深いシワを形成します。曇りの日や室内の窓際でも紫外線は降り注ぐため、日焼け止めのこまめな塗り直しが大切です。
乾燥や水分不足によるダメージが手のシワの要因
季節の変わり目やエアコンの風による乾燥は、手肌の潤いを奪い、シワを悪化させる原因となります。手の皮膚はもともと薄く、水分を保持する力が弱いため、乾燥の影響を受けやすく、シワが目立ちやすい部位です。
肌の水分が不足すると角質層が硬くなり、柔軟性が失われることで皮膚にシワが出来やすくなります。乾燥によって肌内部の水分バランスが乱れると、細胞の代謝機能が低下し、線維芽細胞の働きが弱まります。コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といったハリや弾力を保つ成分の生成が減少し、肌の保湿力がますます低下して、シワが深く刻まれていくという悪循環を招きます。
不規則な生活・栄養バランスの乱れが手のシワを進行させる
睡眠不足や偏った食事も、肌のターンオーバーを乱す原因です。
コラーゲン生成にはビタミンC・E・亜鉛・タンパク質などの栄養素が不可欠ですが、これらが不足すると皮膚の修復力が低下します。喫煙や過度な飲酒も血流を悪化させ、細胞の酸化ストレスを高めるため、手のシワを進行させる一因となります。
手の血管浮き、くぼみの原因
加齢によってコラーゲンやエラスチンといった皮膚の弾力を支える成分が減少し、真皮層が薄くなることで皮膚がだんだんと萎縮し、手の内部の血管や腱が浮き上がって見えるようになります。皮下脂肪の減少も大きな要因で、痩せている方や急激に体重を落とした方では、手の甲のクッションの役割を果たす脂肪が少ないため、血管が浮いてくぼみができ、ゴツゴツした印象を与えてしまいます。
手のシミの原因
手の甲は皮脂腺が少なく乾燥しやすいため、バリア機能が低下しやすく、紫外線ダメージの影響を強く受けやすい部位です。
紫外線を浴びると、肌の防御反応としてメラノサイトが活性化し、メラニン色素を生成します。通常であれば、ターンオーバーによって排出されますが、加齢や乾燥、血行不良などで代謝が低下すると、メラニンが排出されず手のシミとして定着してしまいます。
さらに、日常的な家事や洗剤の使用、摩擦などの物理的刺激も炎症を引き起こし、色素沈着を悪化させる一因になります。いわゆる「油ジミ」は、老人性色素斑と呼ばれるもので、表皮だけでなく真皮層にもメラニンが沈着しているため、美容治療でも取りにくく根が深いのが特徴です。
セルフケアのハンドクリームやマッサージで手のシワをなくす
先に述べたように手のケアを全く行わないままでは、ありのままの老化現象が現れてしまいます。
お顔と同じように毎日セルフケアをすることで、老化の進行を遅らせることができます。
ハンドクリームで手のシワをなくす方法
まずはハンドクリームを使った保湿ケアです。ニベアなどの油分の多いクリームが人気ですが、手を洗った後にハンドクリームを少し塗って揉み込むと、乾燥によるシワが目立たなくなります。
冬は空気が乾燥するため、シワやガサガサした感じがより目立ちますが、ハンドクリームを塗ることで、手肌に潤いを与えながら乾燥を防止して、手を保護することができます。
手の保湿ケアとクリームの使い方
乾燥による手の小ジワを防ぎ、皮膚のバリア機能を保つためには、日常的な保湿ケアが欠かせません。
手を洗ったあと、タオルで軽く水分を押さえたら30秒以内にハンドクリームを塗ることが理想です。夜は集中保湿のタイミングのため、就寝前に薬用または高保湿タイプ(セラミド・ヒアルロン酸・シアバター・ワセリン配合など)のクリームを厚めに塗り、綿手袋をつけて眠ると、翌朝までしっとり感が続きます。
シワ改善を意識する場合は、「レチノール」「ナイアシンアミド」「ビタミンE」などのエイジングケア成分が配合されたハンドクリームを選ぶと効果的です。保湿は1日3~5回を目安にこまめに塗り直し、爪周りや手首までしっかり塗ることで、手全体にハリとツヤが出やすくなります。
マッサージで手のシワをなくす方法
次にマッサージです。マッサージを行うと、手の血流が促進されて、血液と一緒に運ばれる栄養素が手肌の隅々に行き渡り、ハリ・ツヤの向上が期待できます。ハンドクリームを塗った後、親指の腹で手の甲を円を描くようにほぐし、指の付け根から先へ向かって軽く絞るようにマッサージを行い、さらに手首から肘方向にさすり上げて血流を促します。手は末梢ですので、代謝を高めることで循環が改善されて浮腫みも取れ、老化予防につながります。
ただし、過度にゴシゴシと摩擦するとダメージを与えてしまうため、適度な力加減で行ってください。当クリニックでも患者さまにハンドマッサージを行っていますが、その場合は「こする」というよりは「ほぐす」ように行うようにしています。
手のストレッチで血行を改善する
ストレッチでは、両手を前に伸ばして指を反らせ、10秒キープし、次に手の甲を内側に曲げて10秒キープし、最後に指を1本ずつ握ったり開いたりして血行を促進します。入浴後や就寝前など体が温まっているタイミングで、強く押しすぎず心地よい圧で行うのがおすすめです。
手のシワのケアために食生活を改善して、栄養のバランスの見直す
手のシワのケアのためには、外側だけでなく、栄養バランスを見直して内側から皮膚細胞の再生をサポートし、ハリを保つことが大切です。
コラーゲンやタンパク質は皮膚の弾力を維持するために欠かせず、鶏むね肉や魚、豆腐、卵などを意識的に摂取するとよいでしょう。
ビタミンCはコラーゲン生成を助け、酸化を防ぐ働きがあるため、ブロッコリーやキウイ、いちごなどの果物や野菜を取り入れるようにしましょう。ビタミンEやポリフェノールには抗酸化作用があり、ナッツ類やアボカド、緑茶などを取ることで老化を抑える効果が期待できます。また、亜鉛や鉄分は皮膚のターンオーバーを促進する栄養素であり、牡蠣やレバー、赤身肉などをバランスよく取り入れることが重要です。一方で、糖分や脂質の過剰摂取は糖化反応(AGEs)を進めて肌の弾力を低下させるため、控える必要があり、無理なダイエットや睡眠不足も肌の再生を妨げる原因となります。
手のシワを防ぐための日常生活で避ける習慣
手のシワを防ぐためには、日常生活の中で紫外線・洗剤・アルコール・喫煙・睡眠不足といった要因を避けるようにしましょう。
手の甲は紫外線を浴びやすいため、外出前にはSPF30以上の日焼け止めを手にも塗布し、手洗い後や2〜3時間おきにこまめに塗り直すことをおすすめします。また、水仕事や掃除の際には手袋を着用して直接洗剤に触れないようにし、アルコール消毒後はすぐにハンドクリームで油分を補って乾燥を防ぐことも大切です。喫煙は血流を悪化させ皮膚への酸素供給を妨げ、睡眠不足は肌の再生リズムであるターンオーバーを乱す原因となるため、禁煙と十分な睡眠の確保も欠かせません。
どのケアも根本的に手のシワをなくすというものではありません。
ハンドクリームには即効性があり、手肌を保湿できますが、若返る効果はありません。ただ、顔のお手入れと同じく、常に保湿ケアを行うことで、乾燥によるシワができにくくなるといった効果が得られます。
それでも手のシワが気になるという方は、クリニックで手の美容治療を受けてみてはいかがでしょうか。
手の老化を改善する手のシワ治療には、どんな方法がある?

銀座よしえクリニックでは「手のシワ」や「手の老化」が気になる方のための治療をご用意しています。
セルフケアでは手の老化現象を改善することはできませんが、美容医療ではいくつもの治療メニューがあり、見た目の改善を図ることが可能です。
マッサージピール(コラーゲンピール)
PRX-T33という真皮深層まで強力にアプローチするピーリング剤を、マッサージしながら肌に浸透させる施術です。
浸透した薬剤はコラーゲンの生成を強力に促進するため、手の甲の小ジワの改善が期待できます。また、薬剤にはコウジ酸も含まれているため、美白効果やシミの改善も期待できます。術後は、ハリのあるすべすべした手肌を実感いただけます。
ヒアルロン酸注入
手の甲にヒアルロン酸を注入することで、即効的にみずみずしい肌に戻す施術です。老化によるコラーゲンやヒアルロン酸の減少を外から補うという考え方で、ヒアルロン酸自体に保水力があるため、シワの少ない潤いのある肌に導きます。
また手をふっくら盛り上げるため、くぼみや血管の目立ちも抑えられます。個人差はありますが、一度注入すると1年間程度効果が持続します。
CPC-PRP®(高濃度プレミアムPRP)
ヒアルロン酸注入は外から潤いを補う治療ですが、CPC-PRP®は肌内部の線維芽細胞の働きを高める治療です。ご自身の線維芽細胞がコラーゲンやヒアルロン酸を生み出す力をCPC-PRP®が高めて、手のシワなどの加齢症状の改善を目指します。
ヒアルロン酸注入のように即時的ではありませんが、注入から1〜2カ月後に効果がだんだんと現れます。個人差はありますが、1〜1年半程度効果が持続します。
肌の再生医療(線維芽細胞治療)
CPC-PRP®は肌内部の線維芽細胞の働きをサポートする治療ですが、線維芽細胞治療は線維芽細胞そのものを注入して、肌の状態を若い頃の状態に戻す治療です。
ご自身の線維芽細胞を培養し、元気のいい状態(活性状態)で戻すため、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの肌の弾力をつくる成分がどんどん生み出されて、シワだけでなく、ハリや弾力の向上など、トータルな手の老化治療ができます。生きている細胞を使用するため、個人差はありますが、CPC-PRP®よりも長期間持続します。
手のシワをなくす方法に関するよくある質問
- 手のシワをなくす方法はありますか?
- 手のシワをなくす方法として、ハンドクリームでの保湿ケアやマッサージによる血行促進がお勧めですが、「根本的に手のシワをなくす」というものではありません。
当院では手のシワが気になるという方に、症状に合わせた最適な治療をご提案いたします。 - 手のシワが目立つ原因は何ですか?
- 手のシワが目立つのは、加齢や乾燥などにより線維芽細胞の働きが弱まり、お肌のハリや弾力が低下してくるからです。特に手は顔と違ってスキンケアをしっかりしてないことがあるため、老化が目立つようになります。
- 手の甲のちりめんジワの原因は何ですか?
- 手のちりめんジワの原因は、肌の乾燥、紫外線や加齢などです。







この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら