大人のアトピー性皮膚炎治療の特徴

患者さんご自身の脂肪から抽出した幹細胞の力を利用してアトピー性皮膚炎を治療します。

大人のアトピー性皮膚炎治療

アトピー性皮膚炎とは、皮膚にアレルギー反応が生じて炎症が引き起こされて瘙痒感を引き起こし掻爬することで皮膚のバリア機能が低下(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)して、さらなる痒みなどの症状を伴う慢性の湿疹(皮膚炎)です。顔や耳の周り、首や関節の内側など皮膚の薄いところを中心に症状が現れます。
近年成人になっても改善しない人や、大人になってからアトピー性皮膚炎にかかる人が増えています。厚生労働省の患者調査によると、2008年に約35万人だった患者数は、2017年には16万人増の約51万人に増えています。
大人のアトピー性皮膚炎の原因としては、化学物質や食品添加物、ハウスダスト、強い紫外線などの刺激、ストレスや睡眠不足など様々な要因があります。

当院では大人のアトピー性皮膚炎に対して、ご自分の体の脂肪幹細胞を体外で培養し、その幹細胞を点滴して体内に戻す再生医療「幹細胞点滴治療」を提案しています。この治療で、大人のアトピー性皮膚炎の症状が緩和・軽減ことが期待できますが、すべての方に確定した効果が出るわけではありません。
当院では再生医療技術を用いないアトピー性皮膚炎治療も行っていますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

※M2マクロファージは、白血球の一種である免疫細胞です。免疫応答を抑制したり、創傷治癒を促進したり、代謝と内分泌シグナル伝達を改善する増殖因子と抗炎症性サイトカインの産生を担っています。

銀座よしえクリニックの再生医療プロジェクトの試み

大人のアトピー性皮膚炎の治療に用いる自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の点滴治療とは、患者さんの身体から脂肪細胞を採取し、CPC(細胞加工施設)に於いて、幹細胞を分離して培養し、培養した幹細胞を点滴により投与する皮膚疾患の再生医療です。
アトピー性皮膚炎の症状が、ヒト幹細胞のもつ抗炎症作用によって改善することが期待できます。

こんな悩みはありませんか?

  • 子供の頃からアトピー性皮膚炎である
  • 難治性のアトピー性皮膚炎と診断された
  • 難治性のアトピー性皮膚炎である
  • 大人になってアトピー性皮膚炎がぶり返した
  • 皮膚科の治療を受けても改善しない
  • ぬり薬や飲み薬を続けるのがイヤ
  • 少ない治療回数でアトピー性皮膚炎を治したい
  • 少ない治療回数でアトピー性皮膚炎の症状を治したい
  • これまでの治療(保険診療・自由診療)で効果が不十分だった
  • 繰り返し受けなければいけない治療の負担を軽減したい

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の点滴治療は、これまで標準的なアトピー治療を行ってもなかなか治らない方や、ニキビに対する新薬を使用しても、使用を止めると症状が戻る方などの最終的な治療として位置付けられています。
脂肪組織由来幹細胞治療は、軟膏(塗り薬)やステロイド剤などの薬による一時的な対症療法とは異なり、ご自身の免疫を調整して症状の緩和を図る根本的な治療です。そのため、1クール(1カ月ごとに5回点滴)の治療で完治する事が期待できます。

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞治療の流れ

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞治療の流れ

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴のメリット

  • アトピー性皮膚炎の原因である、免疫のバランスを調整できる可能性が高い
  • 最終的にアトピー性皮膚炎の薬を卒業して、荒れた肌の治癒力を高めて皮膚再生が促されます
  • ご自身の組織由来の幹細胞を使用するため安心です

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴のデメリット

  • 脂肪幹細胞を培養するため本人の脂肪を採取するため、侵襲性がある
  • 既往症によっては、治療を受けられない方がいる

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴が大人のアトピー性皮膚炎治療に応用される理由

脂肪組織由来間葉系幹細胞のもつ2つの作用により、アトピー性皮膚炎の症状を改善すると考えられています。

[作用1]ホーミング効果

アトピー性皮膚炎は自己免疫疾患の一部として考えられる研究もありますが、肌内部で過剰に生体防御反応が働いて自己組織を攻撃してしまう病気です。
細菌やウイルスなどの人体にとって有害な異物が体内に侵入した際に、これらを攻撃するしくみを「免疫反応」と呼びます。この免疫反応が暴走すると、自分の体内の組織や神経などを傷害します。
脂肪由来の間葉系幹細胞には、傷ついた組織や炎症が起きている組織に集積して、留まりながらサイトカイン放出し、周囲の環境をよくする働きがあると考えられています。これを「ホーミング効果」と呼びます。
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を点滴することで、幹細胞が免疫のバランスを整えて、その結果アトピー性皮膚炎の炎症を鎮静化することで、傷ついた組織や神経の再生を促すことで痒みを軽減したり、荒れた肌の再生を促したりする効果が期待できます。

  • 注入された脂肪由来幹細胞は、血流にのって、体中をパトロールします

    1)注入された脂肪由来幹細胞は、血流にのって、体中をパトロールします

  • ダメージを受けた細胞のSOS(シグナル)に反応して幹細胞が集まってきます(=ホーミング)

    2)ダメージを受けた細胞のSOS(シグナル)に反応して幹細胞が集まってきます(=ホーミング)

  • 血管を乗り越えて、修復が必要な細胞に幹細胞が向かいます

    3)血管を乗り越えて、修復が必要な細胞に幹細胞が向かいます

  • 細胞に分化+液体因子の分泌で細胞を修復します

    4)細胞に分化+液体因子の分泌で細胞を修復します

[作用2]免疫調整

先に述べたように、アトピー性皮膚炎は免疫のバランスが崩れて攻撃反応が過剰な状態にある病態です。
一般的に間葉系の幹細胞から放出するサイトカインには、暴走する免疫を抑制するような働きがあるのではないかと考えられ、臓器移植の免疫反応の抑制にも応用されています。
血管内に点滴投与された間葉系幹細胞は、血流に乗って体内を巡り、まず初めに肺に到達します。肺に到達した幹細胞はトラップ(集積)し、肺の中で免疫を抑制するマクロファージに働きかけ、M2マクロファージ※を優性にして、体全体で過剰な免疫応答を抑制するのではないかと言われています。一方で、血液中を循環する間葉系幹細胞は、皮膚の炎症部位に集積し、抗炎症サイトカインを放出して炎症を抑えます。
これにより、過剰な免疫反応が正常な状態に調整されて、アトピー性皮膚炎を根本的に解消すると考えられています。

※M2マクロファージは、白血球の一種である免疫細胞です。免疫応答を抑制したり、創傷治癒を促進したり、代謝と内分泌シグナル伝達を改善する増殖因子と抗炎症性サイトカインの産生を担っています。

サイトカインストームとは

当院では、自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を末梢静脈内に点滴投与します。
血管は身体の中でほぼ全ての部位に循環しているため、点滴で投与することにより、局所投与では到達できない部位にも作用させることができます。

再生医療研究の盛んな大学病院の技術を導入し、CPC(細胞加工施設)も完備

銀座よしえクリニック都立大院は、聖マリアンナ医科大学の井上客員教授より、再生医療の監修を受けています。
さらに当院では、特定細胞加工物製造施設として厚生労働省が管轄する地方厚生局からの許可を得たCPCを院内に設置。CPCでは、患者さんから採取した脂肪組織由来間葉系幹細胞を培養・増殖して、点滴用の製剤を作っています。
銀座よしえクリニック都立大院では、大学病院と同じレベルの設備の下で同等の質の治療を受けることができます。

CPC(細胞加工施設)について詳しくはこちら

大人のアトピー性皮膚炎治療(自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴)の施術の流れ

  • STEP 1
    診察、血液検査

    治療が可能かどうか、血液検査を行います。

  • STEP 2
    脂肪組織採取

    傷が目立たない部位から脂肪を採取します。

  • STEP 3
    幹細胞培養

    採取した脂肪から幹細胞を取り出して培養します。(8週間)
    培養した幹細胞は凍結して保管するため、8週間後であればいつでも治療が可能です。

  • STEP 4
    幹細胞投与

    座位または臥位で、幹細胞を静脈内投与します。(60~90分)
    投与後は1時間程度、院内にて経過観察します。

  • STEP 5
    治療間隔

    治療間隔については医師と相談して決定します。
    目安は、1カ月ごとに5回で1クールとなります。
    注入後は異常等がないことを確認するため、月1回、6カ月間は定期的に通院をお願いしています。
    このサイクルを症状治るまで続けます。

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴の注意点

脂肪組織採取に伴うもの

  • 施術中・・・麻酔に対するアレルギー・軽度の痛み・不快感・刺激感・熱感 等
  • 施術後・・・赤み(紅斑)・腫れ・痛み・かゆみ・出血・感染・炎症・瘢痕・ 色素の変化色素沈着・色素脱失)、創傷治癒遅延、皮膚生着不良、テープかぶれ 等

幹細胞の点滴投与に伴うもの

気分不良、嘔気、息苦しさ、胸痛、肺塞栓症、アレルギー反応、ショック(アナフィラキシーなど)、感染、予期せぬ重篤合併症が発生する可能性があります。
注入時・注入後に注射部位周辺等に血管痛、掻痒感、熱感が生じることがありこれらはほとんどの場合、注射終了後に消失します。場合によっては注射部位に内出血がおこる可能性がありますが、1~2週間で徐々に消失します。

  • 静脈確保が困難な場合、複数回の刺し直しをする場合がございます。
    複数回の穿刺にもかかわらず、静脈確保困難な方は治療ができない場合はその日の治療をお断りする可能性があることをあらかじめご了承ください。
  • ご体調に不快感がある場合は施術を受ける前に必ず施術者にお伝えください。状態により患者様の肌、体に影響を及ぼすおそれがあり、場合によっては施術をお断りさせて頂くこともございますのであらかじめご了承ください。

出現する時期に関しましては患者様の皮膚・身体等の状態により、異なります。
これらの症状の殆どは一時的なものですが、症状が発生した場合は当院にて対応させていただきますので必ずご相談下さい。

大人のアトピー性皮膚炎治療のリスク・副作用

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞点滴治療の場合:ご自身の脂肪採取時に採取部位の一時的な痛みと出血があります。リスクは一般的な注射とほとんど変わりません。
保険診療の場合:塗布する薬剤が合わない場合に赤みなど

大人のアトピー性皮膚炎治療のメリット

  • ご自身の幹細胞を投与するため安全性が高い
  • 幹細胞は冷凍保管するため、好きなタイミングで治療ができる
  • 1回の脂肪採取で複数回治療が行える

大人のアトピー性皮膚炎治療のデメリット

  • 治療の料金が高額
  • 脂肪採取部位の傷み・感染の可能性がある
  • 効果の発現に一定の時間を要する

大人のアトピー性皮膚炎治療の施術詳細

脂肪組織採取

  • 施術時間30分〜60分
  • 入院なし
  • 術後の通院なし
  • 麻酔局所麻酔
  • 術後の腫れ多少腫れます。
  • シャワーシャワーは当日可。
    入浴はガーゼ保護中不可。
  • 洗顔当日から可能
  • メイク当日から可能
  • 診察当日の治療不可、要血液検査

幹細胞の点滴投与

  • 施術時間60~90分
  • 入院なし
  • 術後の通院1カ月ごとに5回(1クール)
  • 麻酔なし
  • 術後の腫れ注射部位に内出血がおこる可能性がありますが、通常の点滴と同様です。
  • シャワー当日から可能
  • 洗顔当日から可能
  • メイク当日から可能
  • 診察当日の治療不可、要血液検査

大人のアトピー性皮膚炎治療のQ&A

自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴治療を受けられない人はいますか?
以下に該当する方は、治療が受けられません。
・小児(15歳未満)
・妊娠中または妊娠の可能性のある方・授乳中の方
本疾患の治療よりと優先すべき治療がある疾患に罹患中の患者(方)
・自己におけるインフォームドコンセントができない方
・その他、担当医師が不適当と判断した方
大人のアトピー性皮膚炎はどれくらいで症状が改善しますか?
個人差があるため、一概にはお応えできませんが、1クール(5回の点滴)で改善が確認された場合、その後の治療は必要ありません。
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈点滴の副作用はありますか?
幹細胞の点滴投与に伴うものには、気分不良、嘔気、息苦しさ、胸痛、肺塞栓症、アレルギー反応、ショック(アナフィラキシーなど)、感染、予期せぬ重篤合併症が発生する可能性があります。
幹細胞点滴を受けると他にどのような効果がありますか?
幹細胞点滴のその他の効果として、肌の加齢による変性(しわ・シミ・たるみなど)の症状の改善、生理年齢の若返り、ケガなどによる傷跡を修復する効果が期待できます。
さらに、現在、この治療は高血圧や動脈硬化が原因で引き起こされる心筋梗塞の予防や糖尿病の治療に用いられています。
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